『モンパルナスのエコール・ド・パリ』
興味深い本です
『モンパルナスのエコール・ド・パリ』
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1920年代、パリ
パリが最も華やかで浮かれていた狂乱の時代
自由で文化的な空気に満ち溢れていた
この地を目指して
世界中から芸術家たちがやってきます
エコール・ド・パリの時代です
以下
ウィキペディアより引用
「エコール・ド・パリとは、”パリ派”の意味で、20世紀前半、各地からパリのモンマルトルやモンパルナスに集まり、ボヘミアン的な生活をしていた画家たちを指す。厳密な定義ではないが1920年代を中心にパリで活動し、出身国も画風もさまざまな画家たちの総称。」
とありまして
アメリカ、ロシア、ヨーロッパ各地、カナダ、中南米、そして日本から
金のない芸術家たち
…画家をはじめとして
彫刻家、小説家、詩人、作曲家たちが
このパリの
特にはモンパルナスに集まり
芸術家のコミューンを作り上げました
画家たちでよく知られたところでは
モンパルナスにある
「ラ・ルーシュ(=蜂の巣)」
と呼ばれる集合住宅に住み込み
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共に貧乏暮らしをしながら
交友を深め芸術的素養を磨き合ったのです
う~ん
どことなく
多くの漫画家を輩出した
トキワ荘なんかも
この雰囲気に似てるんじゃないでしょうかね
まあ
そういうわけでして
本書は
1920年代モンパルナスにおける
当時の芸術家たちの姿を
綿密な取材によって得た
生の証言や豊富な資料、180点に及ぶ写真でまとめた
貴重なドキュメントです
本書で取り上げられた芸術家は
以下の面々
①クレメーニュとスーティン
②ザッキンとモディリアーニ
③シャガール
④ガブリエル・フルニエとキスリング
⑤藤田嗣治
もちろん他にも
各章ごとに
いろいろな人物たちが登場しますが
日本ではあまり知られていない人も
多いかもしれませんね
日本では
なんといっても
モディリアーニやシャガール
そして藤田が有名ですね
あと上記の共同アトリエ「ラ・ルーシュ」には
住んでいませんが
この時期をともに過ごした仲間として
ピカソ、マティス、ダリ、ミロ
またサルトル、ブルトン、コクトー
はたまた
僕の大好きジャコメッティなどなど
枚挙に暇がありませんね
この時代
みんなお金はなくとも
夢と若さだけはあり余っていました
そうした創造的な環境の中で
互いに切磋琢磨しながら
成功へのチャンスをうかがっていたのです
本書では
そんな当時の空気感が
文章の行間から垣間見れて
とっても興味深かったですね
様々なエピソードが紹介されているのですが
モディリアーニが
仲間たちと一緒に
晩年のルノワールに
会いに行った時の話が出色
自作の絵を見せたモディリアーニに
ルノワールが言ったそうです
「若者よ、あなたは喜びを持って絵を描いていますか?」
モディリアーニにとっては
偉大なる画家からの思わぬ言葉に
さぞかし失望したでしょうが
まあ
この二人では
作風もパーソナリティーも
何もかも正反対ですからね
なんとも面白いエピソードです
と
何を隠そう
エコール・ド・パリの時代の画家の中で
僕の大のお気に入りが
リトアニア出身のユダヤ人画家
シャイム・スーティン(1893-1943)です
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モディリアーニとの親交でも知られる彼は
仲間も驚く不衛生かつ極貧の生活を送りながら
自身の内面
その不安定な精神状態を顕在化したかのような
激しい筆致と
極端にデフォルメされた造形で
独自の表現主義的なスタイルを確立
アメリカの画商バーンズに見出され
やがて成功を収めます
いやあ
この人の絵はとにかくすごいです
歪んだ構図
生々しい躍動感の
《カーニュの風景》(1923-24)
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底知れぬ内面
異様な緊張感に満ちた
《狂女》(1920)
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ちなみにこちらは
盟友モディリアーニによる
《シャイム・スーティンの肖像》(1916)
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卑しげな眼差しが特徴的な
スーティンの屈折した内面が
滲み出ているようですね
というわけで
すっかり趣味全開ですね
まだまだ書ききれないのですが
きりがないので
今回はこのへんで…
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