映画『燃ゆる女の肖像』
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2019年製作のフランス映画
『燃ゆる女の肖像』
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監督・脚本は
新鋭、セリーヌ・シアマ(1978-)
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こういう古い時代設定の重たい感じのドラマは
演出や俳優の演技にもよりけりですが
あまりにベタ過ぎて
観てられないものが多く
まあ本作はやたらと評価されていますが
その実
今どき流行りのLGBTをいち早く取り上げただけの
下手な文芸物なんじゃないかと
観る前はかなり疑いの目で観た一本
…が
しかし
う〜ん
なかなかどうして…
何か強烈なものを観た
という
これはちょっと驚きといいますか
いやあ
正直
感動してしまいましたね…
18世紀フランスの孤島を舞台に
望まぬ結婚を控える貴族の娘と
彼女の肖像を描く女性画家が
恋に落ちる様を鮮烈に描いています
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画家のマリアンヌは
ブルターニュの貴婦人から
娘エロイーズの見合いのための肖像画を依頼され
孤島に建つ屋敷を訪れる
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だがエロイーズは結婚を拒んでいた
マリアンヌはそんな意図を告げず
密かに彼女の肖像画を完成させるが
真実を知ったエロイーズから
絵の出来栄えを否定されてしまう
描き直すと決めたマリアンヌに
エロイーズは意外にもモデルになると申し出る
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そうしてキャンパスをはさんだ
コミュニケーションが始まり
また島をともに散策したり
音楽や文学について語り合ううちに
やがて2人は激しい恋に落ちてしまう…
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う〜ん
観ていて
思わず気持ちを持っていかれちゃいましたね
自分が望む人と結婚できない
この時代の貴族社会を生きる
当時の女性たちの境遇が
自ずと推しはかられ
そうした自由を奪われた女性の
えも言われぬ怒りが
閉じられた表情
特には固く結ばれた唇に込められ
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やがては
抑制された感情が
禁断の愛へと反転していきます
様々な制約、しきたりの中
…であるからこそ
なおさら自由を希求するようになる
エロイーズとマリアンヌの間で
燃え上がる感情は
まさに必然
宿命的ともいえ
本作ではそうした
真実の愛に目覚める土壌
いわば
ラディカルな気運が
沸々と形成されていく過程が
コントラストの強い
太陽と大海原をバックに
丹念に、そして鮮烈に描かれていきます
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打ちつける波しぶき
ほとばしる情熱
溢れる感情
ベタな表現ながら
バチッとはまっています
何せ映像にてらいがなく力があります
この上なく美しいのは言わずもがな
フィルムをたゆたう情感
画面を横溢する圧倒的なエネルギーを前にして
いやあ
どうにも心揺さぶられずにはいられませんでしたね
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主人公の女性2人が
真摯で
純粋で
力がこもっていて
なんとまあ
強い光を放っているのでしょうか
焚き火を前にして歌う女たちのシーンも独特で
まるで原初の息吹を感じるがごとく
力強くそして聖なる趣きがあって
ゾクゾクしますね
と
それでいて全編のトーンは
終始、抑制が効いています
クラシカルな衣装に身を包んだ女たちが
あくまで節度をもって
この時代を生きています
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マリアンヌが絵画を制作していく過程も興味深く
素朴な線描から
徐々にリアルな肖像画が出来上がっていく様が
観ていて面白かったですね
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と
本作では
劇中で語られる
ギリシャ神話のオルフェウスの話が
物語の重要な伏線となっています
振り返るか
振り返らないか
そしてラストシーン
思い出深いヴィヴァルディの四季の演奏を聴きながら
エロイーズの内に去来する様々な思い
その表情の中に押し殺した秘めた高揚…
しびれましたね…
というわけで
『燃ゆる女の肖像』
美しいロケーションと時代設定
シアマ監督の卓越した演出
女優たちの熱演と
すべてが光る
いやあ
これはまぎれもない傑作です
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