永井荷風『断腸亭日乗』

明治から大正、昭和にかけて

強烈な個人主義に根ざした

独自の風流な生き方を

終生貫いた作家

永井荷風(1879-1959)

↓↓↓

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荷風が

大正6(1917)916日から

死の前日の昭和34(1959)429日まで

年齢にすると

38歳から79歳の死の直前まで

実に42年間にわたって

書き続けられた日記があります

『断腸亭日乗』です

↓↓↓

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タイトルの由来は

日記を書き始めた大正6年当時に

荷風が住んでいた家の屋号

「断腸亭」からとっています

文庫版である本書は

荷風が42年間を通して書き綴られた

3000ページにのぼる全文のうち

「摘録」という形で抽出したものです

って

それでもかなり膨大な量にのぼりますがね

本書は

大正から昭和に至る

まさに激動の時代を生きた

この特異な作家による

当時の風俗や文化、生活の

貴重な記録であると同時

荷風の複雑な心の内が

赤裸々に綴られた優れた書です

特には

1945年前後の生々しい状況描写や

諦念ともとれる荷風の淡々としたあり様が

う〜ん

自ずと胸に迫ります

荷風は生涯で2度ほど結婚するも

2回とも程なくして離婚

以来

長い半生を独身で通すわけですが

そのあたりの記述

1935年、荷風55歳の時の日記の一部を

以下、抜粋

↓↓↓

わたくしは初に言ったように決して独身論を主張するものではない。

唯おのずから独身の月日を送ることが多いようになったのである。

何事にも苦と楽とは相半ばするものである。

妻帯者には妻帯者の楽しみもあれば苦しみもあろう。

独身者の生涯またそのようである。

或る年の夏、友達から見事な西瓜を一個貰ったことがあるが、大きすぎて一人ではどうする事もできない。

折角の好意を無にする悲しさに、わたくしは

「もてあます 西瓜一つや ひとり者」

という発句を書き送って返礼に代えた。

とまあ

この稀有な作家と

彼が生きた激動の時代を知る

とても貴重な日記

あらためて

必読の書ですね

ふと

僕の

この”ともいき”も

かくありたいなぁと

つくづく…

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