映画『何がジェーンに起ったか?』
映画評です
1962年製作のアメリカ映画
『何がジェーンに起ったか?』
↓↓↓
かつてスターだった老姉妹の
愛憎の果てを描いた
サイコスリラーの古典です
↓↓↓
監督はロバート・アルドリッチ
骨太の人間ドラマを撮らせたらピカイチの職人監督です
姉妹を演じる主演の二人は
ともにサイレントの時代から活躍し
オスカーも獲得している往年のスター
ベテイ・デイヴィスとジョーン・クロフォード
本作は当時すでにピークを過ぎたと
言われていた大女優二人が
役者としての新境地を開拓したと
話題になった作品です
↓↓↓
名子役から落ちぶれ
精神を病んだ妹のジェーンと
大女優になりながら
事故で車椅子の身となった姉のブランチ
年老いたふたりは
古い屋敷で隠遁生活を送っていた
ジェーンは酒に溺れ
異常な行動を繰り返し
次第に身体の不自由なブランチに
食事も与えず暴力を振るうようになっていく
日を追うごとにエスカレートするジェーンと
衰弱していくブランチだが
ブランチには
ジェーンに明かしていないある秘密があった
…
妹のジェーンに当時54歳のデイヴィス
白塗りのおぞましいメイクに
子役時代のままの愛らしい衣装
う〜ん
ただもう衝撃のビジュアルです
↓↓↓
姉のブランチに当時58歳のクロフォード
妹のジェーンに虐待されながら
終始怯えた表情で必死の抵抗を試みます
↓↓↓
なんてったって特筆すべきは
狂気の淵をさまようジェーンの異様さです
過去の栄光を忘れられず
さらには現在の醜い姿に絶望し
結果、さらなる昔日の夢に埋没
哀れで惨めで
ゆえに姉に対する
凄まじいまでの嫉妬と憎悪を爆発させます
↓↓↓
いやはや
トラウマ必至
姉に対する仕打ちの残酷さたるや、もう
何よりこの異形
もはやホラーですね
↓↓↓
と
観ていてひたすら可哀想な姉のブランチに
つい同情の目を寄せてしまいますが
実はこれは
監督の周到な演出によるもので
話はそう単純ではありません
幼い頃からショービジネスの世界を生きてきた
姉妹が自ずと抱く
互いに対する激しい対抗意識
血のつながった姉妹ゆえの
愛情と裏表の憎悪
映画は負のエネルギーが充満しまくった
濃密な密室の中で
むき出しの感情が露わになった
姉妹の確執と複雑な内面を
巧みな心理描写で
ショッキングに映し出していきます
↓↓↓
ラストで驚愕の真相を知った後に
ジェーンが見せる穏やかな表情
神々しさすら漂う
圧巻のエンディング
いやあ
ベティ・デイヴィス渾身の名演です
というわけです
…が
実は本作には有名な裏話があります
主演のデイヴィスとクロフォードは
実際においても不仲で知られていて
二人は本作以降
悪口を公言し合うようになり
結局
終生不仲の関係のままとなってしまったそうです
撮影現場でも数々の
シャレにならないエピソードが残っています
こっそりと電話を使おうとしたブランチに
ジェーンが暴行を加えるシーンでは
デイヴィスが本気でクロフォードの頭に蹴りを入れて
怪我をさせてしまった、とか
一方
ジェーンがブランチをベッドから引きずり下ろすシーンでは
クロフォードがわざと体重をかけたため
デイヴィスは腰を痛めて入院してしまった、とか
↓↓↓
そうした二人の確執が功を奏し(!)
映画は異様な迫力に満ちた怪作として
広く世に知らしめる結果となりました
と
本作のデイヴィスとクロフォードに対しての
誰かの評
「ベティ・デイヴィスは映画史上最高のサディスト
ジョーン・クロフォードは映画史上最高のマゾヒスト」
これについてデイヴィスは
大いなる皮肉を込めて
こう言ったとされています
「私が悪女役を演じるのが上手いのは
きっと私が悪女ではないから。
だから彼女(=ジョーン)は
いつも淑女ばかり演じている」
ハハハ
どんだけ〜
って
撮影時の二人の仲睦まじい(⁈)ショット
↓↓↓
う〜ん
女優というのは
かくも恐ろしい生き物なのかもしれませんね
つくづく
この記事へのコメントはありません。