映画『ゲッタウェイ』

暑さに覆われたアメリカ南部特有の

気怠いムード

乾いた静寂を

切り裂くように

突如

響き渡る銃声

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トランクが捲れ上がり

おもむろに火を噴く車

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う〜ん

最高です

1972年のアメリカ映画

『ゲッタウェイ』

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監督は言わずと知れた鬼才

サム・ペキンパー(1925-1984)

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そして主演はご存じ

スティーブ・マックイーンとアリ・マッグロー

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何をいまさら

って

いやあ

何度でも観たくなる映画ってあるものでして

僕にとって

本作はまさにそんな一本ですね

テキサスの刑務所に10年の刑で服役していたドク・マッコイ(マックイーン)

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地元の有力者ベニヨンの力を借りて4年で出所し

その条件として妻キャロル(マッグロー)と共に銀行強盗に加担

何とか成功するも

裏事情を巡るもつれからベニヨンを射殺

奪った金を持って逃走することになる

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そうして警察とギャング両方から追われる身となった2人は

メキシコへと脱出すべく逃避行を繰り返していく

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全編を覆う負の空気感

自身を取り巻く環境に対する

不満

苛立ち

やるせなさ

こんなはずではなかったという忸怩たる思い

現状から抜け出したいという焦燥感

滲み出る疲れ

沸々と芽生える

やり場のない怒りの感情

どんどんと追い込まれ

もがけばもがくほど

深みにはまっていく悪循環

そうした中

やがて

鬱屈とした

いわば

フラストレーションが

表出します

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圧巻のシーン

暴発するショットガン

ほとばしる感情

スローモーションの映像に刻印される

刹那的なあり様

逆説的な

生の実感

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諦めてなんかいない

自分の置かれた今の境遇に

決して甘んじてやしない

この状況をどうにか打破してやろう

自分は何がなんでも浮上するんだという

根拠のない

しかし確かな自信

マックイーンが

そんな強固な意思を貫く反骨の男を

リアルに体現

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つくづく

奇しくも

今の時代の閉塞感と

そうした中で人間いかに生きるべきか

のあり方の見本を

本作に見出せるような気がしますね

ところで僕は

どちらか

というより

もう断然

ポール・ニューマン派なのですが

もちろんマックイーンも大好きでして

特には本作あたりの

中年に差しかかった頃のマックイーンが好きですね

細身で、抜け目がなく

どこか猿のような素早い身のこなしが身上だった若い頃とはまた違った

ある種の貫禄

油の乗り切った円熟した男ぶり

それでいて

どこまでもギラついた感じ

個人的には本作と『パピヨン』(1973)

マックイーンのキャリアの頂点かなと思います

それはそうと

埃まみれのブラックスーツ姿が

カッコいいのなんの

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また

アリ・マッグローは

私生活ではハリウッドの大物プロデューサー、ロバート・エヴァンスの妻でしたが

なんと本作の撮影中に

マックイーンと実際に恋愛関係に陥ってしまいます

結局、撮影終了後、マッグローはエヴァンスと正式に離婚し

マックイーンと夫婦の契りを交わすことになるのです

すごい話ですね

そんな2人の熱を帯びた

スリリングな丁々発止が本作の見どころの一つで

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特にゴミ処理場でボロボロになりながら

互いの思いを吐露するシーンが最高ですね

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というわけで

バイオレンス描写を得意とするペキンパーの

エモーショナルな演出

ハードなマックイーンとしなやかなマッグローとのリアルな熱愛ぶりが

絶妙な形で結実した傑作

いやあ

あらためて必見です

おまけ

ペキンパーとマックイーンの撮影時のスナップ

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