映画『薔薇のスタビスキー』
1973年製作のフランス映画
『薔薇のスタビスキー』
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監督は
『去年マリエンバートで』などで知られる
名匠、アラン・レネ(1922-2014)
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1950年代末から興る
フランス、ヌーヴェルヴァーグの時代に
意識の流れを映像化した難解な作品群で
一世を風靡したレネにしては
ちょっと珍しい
本作は
彼のキャリア中期の佳作で
フランス政財界を揺るがした
「スタビスキー事件」を映画化した
いわば実録サスペンスです
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1930年代初頭
ウクライナ出身のユダヤ人
アレクサンドル・スタビスキーは
詐欺まがいの手口で大金を手にし
政財界の有力者への賄賂を通して
利権を得て
新興実業家としてのし上がっていき
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そして
妻アルレットとともに
パリで優雅な暮らしを送っていた
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1930年代のフランスで暗躍した
実在の詐欺師スタビスキーの半生
同時代には
フランスへと亡命したトロツキーがいた
30年代パリの
激動の時代背景の中に包まれる
多分に
政治的、経済的
そして文化的な香り
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しかし検察当局の執拗な調査により
偽公債を発行していたことがバレてしまい
やがてスイスの山荘へと逃亡し
そうして
唐突に最期を迎える…
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終盤
窮地に陥ったスタビスキーが
側近や有力者たちに問い詰める
「恩があるだろ、見捨てるのか」
弁護士が冷ややかに言い放つ
「我々は皆、君を見捨てる。君など知らない。偶然見かけても、顔も分からない。
我々はこう言う。
“どうせ信用できない”
“移民には気をつけないと”
“無国籍者で”
“ユダヤ人だ”」
スタビスキー
「あなたも?男爵」
男爵
「何があろうと、私は君の友人だが…君は嘘をついた。残念だよ」
…
ふぅ
なんだか
いろいろな顔がチラつきますね
不祥事やスキャンダルが横行する現代
それをハイエナのように探し回って
金を得ることがよしとされる社会
観ていてなんだか
そんな今の
ネット監視による
行き過ぎた風潮を
ひとり憂慮する僕がいましたね…
って
話が逸れましたが
しかしよくよく
「スタビスキー事件」が
当時の政財界に打撃を与え
それによって
フランスにおける右派政権の台頭を招き
ひいては
ファシズムと対峙する
政治的な土壌を失っていった経緯と
これ無関係でないことを踏まえると
う〜ん
スタビスキーが後世に与えた影響度合い
その深刻さを
つい思わずにはいられませんね
と
そんな推測はさておいて…
主演は
ジャン=ポール・ベルモンド
胸に薔薇をつけ
軽快な言動が持ち味の野心家スタビスキーを
貫禄たっぷりに演じています
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また
30年代パリのクラシカルなムードを
アニー・デュプレーが体現
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とまあ
そんなこんな
ヨーロッパの残り香と
拝金主義がせめぎ合う
そんな当時の社会の風潮や習俗が
映像の端々に垣間見れて
興味深いかぎりですね
監督のレネは
本作について
以下のように語っています
「私にとって、これは詐欺についての夢想のようなもので、詐欺とはつまり死を忘れるための競争のようなものだと考えた」
というわけで
『薔薇のスタビスキー』
いやあ
佳作ながら
観どころ満載の
魅惑に満ちた一本
これは必見です
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