枯れ木の味わい
昨年秋に91歳で亡くなった
アメリカの俳優
ハリー・ディーン・スタントン(1926-2017)
↓↓↓
50年以上にわたる俳優人生において
実に100本以上の作品に出演
そのほとんどが脇役ながら
やせ細った身体から醸し出される
枯れ木のような渋い味わいで
孤高の存在感を発揮した
名バイプレイヤーです
いやあ
大好きでした
どこまでも寡黙な風情
無骨で旺盛な反骨心
時に人間の持つ卑屈さや脆さを垣間見せつつ
常にリアルな人間像を
フィルムに刻み込みました
また俳優業のかたわらで
ミュージシャンとしても活動
権威や名声にとらわれず
自分のスタイルを最後まで貫いた生き方に
多くの俳優がリスペクトしました
おっと
名前もカッコいいですよね
と
そして数々のキャリアの中で
ハリー・ディーンの名を一躍有名にした作品が
珍しく(!)主演を務めた
ヴィム・ヴェンダース監督の代表作
『パリ、テキサス』(1984)です
↓↓↓
謎の失踪を遂げた男の
妻子との再会と別れを描いた
ロードムービーの傑作です
↓↓↓
無人の荒野を放浪する男の
この実存的なまでの佇まい
↓↓↓
まんまハリー・ディーン自身かと思わせるくらい
自然でリアルな演技を披露
↓↓↓
ナスターシャ・キンスキーの名演とも相まって…
う〜ん
胸締めつけられる切ないシーンです
↓↓↓
いやはや
ということで
今回は他に
ハリー・ディーンの演技が印象的な映画を
以下にピックアップ
まずはご存じ
リドリー・スコット監督の
『エイリアン』(1979)
エイリアンに惨殺される飄々とした機関士役
インパクト大の殺されっぷり
↓↓↓
鬼才ジョン・カーペンター監督のB級アクション
『ニューヨーク1997』(1981)
主人公スネークを裏切って
のうのうと生きる狡猾な男を好演
↓↓↓
アレックス・コックス監督のデビュー作
『レポマン』(1984)
借金のかたに自動車を回収する業者(=レポマン)を巡る
パンクな野心作です
ハリー・ディーンは
主人公の青年にレポマンのイロハを教える
どこかいわくのある上司役
↓↓↓
と
個人的にイチ押しなのがこれ
ウール・グロスバード監督が
エドワード・バンカーの犯罪小説を映画化した
『ストレート・タイム』(1978)
刑務所から仮出所した男が
更生しようとするも
結局、犯罪に手を染め
破滅への道を転げ落ちてゆく様を
ダスティン・ホフマンがハードに演じきります
ハリー・ディーンはホフマン演じる主人公の
昔の犯罪仲間の役
↓↓↓
周囲を顧みず
悪事にのめり込んでいく主人公を制御しきれず
結果、警官に撃たれて死んでしまう無常
さらには
デヴィッド・リンチの
一連の映画への出演が目立ちますね
『ワイルド・アット・ハート』や『ツインピークス』のほか
中でも出色なのが
『ストレイト・ストーリー』(1991)
時速8キロのトラクターに乗って
疎遠だった病気の兄に会いにいく老人の物語
ハリー・ディーンは病気の兄を
哀感を滲ませながら寡黙に演じました
↓↓↓
いやあ
最高ですね
多くの作品でひとり漂わせている
悠然とした空気感がいいんですよね
と
実は
ハリー・ディーンの遺作となる主演作が
なんと
ただいま上映中でして
タイトルは『ラッキー』
↓↓↓
僕もまだ観てませんが
ハリー・ディーン・スタントンの孤高の生き様の
まさに終幕のようですね
↓↓↓
必見の新作です
というわけで
伝説の名優でした
あらためてご冥福を祈ります
この記事へのコメントはありません。