ゴーギャン礼讃
今回は芸術論を少々
つくづく
優れた絵画とは
一体どのような絵を指すのでしょうか
まあ人それぞれ見方によって
異なるとは思いますが
キッパリと僕は
独創的な視点と
革新的な表現にこそ
あるのかなと思います
は?
って
それはつまり何かといいますと
ここではあくまで
ビジュアル的な観点から
・テーマ(=主題)
・スタイル(=様式、型、文体)
・スキル(=技能、技法)
のいずれか
あるいは全部において
他に例を見ない視点と表現を
その作品が有しているか否かかなと思います
ということで
ちょっと難しい話になりそうですが
具体例として今回は
ポール・ゴーギャン(1848-1903)を
ご紹介したいと思います
◎《帽子をかぶった自画像》(1893-1894)
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いやあ
今更ながら大好きです
ゴーギャンは
セザンヌ、ゴッホと並ぶ
19世紀ポスト印象派の3大巨匠のひとりとして
広く知られた画家ですが
彼の凄さは
後に20世紀の近現代美術に
大きな影響を与えることにない
その従来の価値観に囚われない
視点の独創性と表現の革新性にありました
例えばゴーギャンは
外の世界を主観的にとらえる
印象派の自然主義を否定し
目に見えない内面や
神秘の世界に題材を求めたりしました
また19世紀当時を支配していた
形や質感、色彩を忠実に描く写実主義
いわばリアリズムをあえて拒否
大胆に単純化させた絵画のあり方を主張します
それは金属工芸の伝統的な焼物である
七宝焼きから着想を得た
「クロワソニズム」という様式を生み出し
◎《黄色いキリスト》(1889)
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そうしてやがて内面表現を重視しながら
くっきりとした輪郭線と明確な形態
平坦で装飾的な構成による
形態と色彩の等しい共生のあり方を模索した
「総合主義」
という新たなジャンルを開拓していくのです
◎《説教の後の幻影》(1888)
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◎《海辺に立つブルターニュの少女たち》(1889)
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まとめると
①抽象化された形態や非現実的な色彩表現をもって、内面や目に見えないものを描こうとする「象徴主義」
②浮世絵など日本美術からの影響が濃厚な、フラットな色による構成や奥行きを排除した「平面性と装飾性」
③身近なテーマを取り上げた「日常的な主題」
④夢や眠り、宗教、魔術などの非現実的なテーマやモチーフを取り上げた「神秘的な主題」
などとなり
これらの特徴は後に
ゴーギャンの影響を受けた絵画の一派である
ナビ派が
理念として掲げ推し進めていくことになります
さらにさらに
ゴーギャンは
アフリカやアジアの
プリミティヴ(=原始的、素朴、未発達)な美に魅せられ
次第に傾倒していき
やがて自身が終世追い求めたテーマである
「神話的な象徴性と原初の生命力」
を南太平洋のタヒチに見出し
この南国の島に度々移り住み
ここを己の創作の源泉とし
晩年に至るまで
膨大な数の傑作群を生み出し続けるのです
こちらはメトロポリタン美術館所蔵の
◎《マリア礼讃》(1891)
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◎《二人のタヒチの女》(1899)
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◎《おいしい水》(1894)
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◎《神の日》(1894)
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ふと
人間とは何か?
これはたぶんに哲学的な命題ですね
ゴーギャンはその問いを
絶えず追い求め
答えを見出すべく
絵画の制作に取り組んでいました
決して漫然と描くことはない
晩年
タヒチから離れたビバオア島で
最期を迎えるその日まで
明確な意図を持って
己の芸術に向き合い続けたのです
つくづく
すごいことですね
◎《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》(1897-1898)
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ゴーギャンの精神世界が
結実したとされる代表作です
う〜ん
僕もまだ観てませんで
いつか観たいなぁ
というわけで
真に優れた絵画とは何か?
その神髄を
ゴーギャンの作品群の中に
見出すことができるかなと
あらためて実感する次第です
おまけ
ゴーギャンの人生にヒントを得た
サマセット・モームの小説です
これは傑作
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