Netflixの波紋

ここ近年

ネットによる動画配信サービスが

映画の製作や配給に携わるケースが

相次いでいます

もともと動画配信は

もっぱら

オリジナルのドラマやバラエティ番組の製作に

終始してきましたが

ここへきて風向きが

少し変わってきているようですね

現在そうした流れを先導している

動画配信サービスが

Netflixです

近年

有名俳優や監督を起用した映像作品を

映画として配信

しかし原則的に映画館で公開せず

加入者だけしか視聴できない仕組みをとっています

前回ご紹介の映画『ROMA/ローマ』は

Netflixによる配給

全世界独占配信が話題になりました

監督のアルフォンソ・キュアロンは

ROMA/ローマ』を

あくまで劇場公開されることを想定して

製作しましたが

監督いわく

「可能な限り世界中の多くの人に映画が届くことを考えると、Netflixによる配給が最も説得力があった」

と述べています

へぇ〜

Netflix

プロモーションの一環として

あるいは映画祭や映画賞の審査基準を充たすために

短期間、劇場公開することもあり

実は『ROMA/ローマ』は

Netflixでの配信の3週間前から

限定された劇場のみで公開されて

映画祭へのエントリー資格を得たものの

例えばカンヌ国際映画祭では

フランス国内で劇場公開していないことを理由に

本作を選出から外してしまいました

「映画館で上映されない映画を

果たして映画と呼べるのか」

世界の映画関係者たちの間で

多くの賛否が巻き起こりました

そのような渦の只中にあった『ROMA/ローマ』ですが

なんとベネチア国際映画祭で

最高賞である金獅子賞を受賞

さらには映画界最高の栄誉とされる

米アカデミー賞で

作品賞を含む最多10部門にノミネートされ

結果

監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3冠を受賞する

という快挙を達成しました

受賞スピーチをするキュアロン監督

↓↓↓

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まあ

ただでさえ保守的なアカデミー会員すらも

唸らせるほどの

素晴らしい出来栄えだったという

これは何よりの証拠でしょうね

本作は結果的に劇場公開しましたが

いずれにせよ

映画のあり方、配給・上映のあり方が

何かと問われるきっかけとなった作品になりました

あらためて

この映画『ROMA/ローマ』

有名な俳優は一切出演せず

セリフも全編スペイン語のモノクロ映画で

いわゆるアート系と言われる作品です

って

僕も常々憂慮していることですが

近年

日本においても映画館で上映される映画は

巨額の資金を投入したハリウッド大作やアクション映画

はたまた家族向けのエンタメ映画などが

ほとんどでして

昔、よく都内のミニシアターなどで上映してい

作家性の強い

いわばアート系と呼ばれる映画が

上映される機会は

う〜ん

以前と比べて

かなり減ってしまったように思います

こうした映画は単館ロードショーでは

実際のところ

回収が難しいという現実があるので

これは致し方ないことですがね

そんな中で近年

映画製作や配給に乗り出してきたのが

Netflixなどの動画配信サービスの会社で

大手メジャーではない

資金力の乏しいインディペンデント系映画会社が

自分たち独自の映画を製作できる

そんな

またとない機会が与えられたわけです

つまりはNetflixなどが

ミニシアターで成し得なかった

アート系映画の製作・上映の受け皿

いわば救世主となっているのです

動画配信サービスなので

映画館で上映するかどうかに関わらずですが

おそらく今後も

そういったニーズを満たすであろうことが予想されて

いやあ

僕はあくまで映画館で観る派ではありますが

これはこれで

素晴らしいことじゃないかなと

強く思う次第です

と先日

巨匠マーティン・スコセッシが

Netflix製作による新作『The Irishman』を

完成間近であると発表

製作費は実に14,000万ドル以上に及び

出演はロバート・デ・ニーロやアル・パチーノ、ジョー・ペシ、ハーヴェイ・カイテル

といった

大御所揃い踏みのマフィア映画だそうです

いやはや

これは楽しみですが

ホントつくづく

Netflixの投げかけた波紋は

どんどん広がる一方で

映画のあり方が

今後ますます変わっていきそうですね

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