カンディンスキーの宇宙
まさに壮大な宇宙です
◎《コンポジションX》(1939)
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ロシア出身の画家、美術理論家で
抽象絵画の創始者と称された
ワシリー・カンディンスキー(1866-1944)
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いやあ
その独創的な理論と実践によって
新しい絵画表現の地平を切り拓いた人です
カンディンスキーにとって
絵のモチーフとなる対象は
風景や人物など目に見える物体や
宗教や神話
はたまた想像上の産物などの
いわば具象ではなく
心の奥底に潜む抽象にある
として
彼は自身の内面を表出した
独自の世界を
縦横無尽に展開していきました
◎《コンポジションⅦ》(1913)
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何が何だかよくわからない
この荒々しいタッチの作品は
聖書の内容…
大洪水やキリストの復活、審判の日などを
主題としているんだそうですが
そうした対象を取り込みつつ
自由に離れ
あくまで
彼自身の精神世界を
反映した表現となっています
と
カンディンスキーといえば
この連作
「コンポジション・シリーズ」が有名ですが
コンポジションという言葉は
“構成する”という意味で
彼は
色彩や○△□などの形状を用いて
世界を構成しようと試み
そうしてやがて
特異なビジュアルイメージを
構築していくのです
◎《黄、赤、青》(1925)
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まさに
色彩と形状のアンサンブル
◎《同心円のある正方形》(1913)
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カンディンスキーは
色と形の美しさが
人に直接働きかける作用
人の内面に及ぼす影響を
「内部共鳴」と呼んで理論展開し
実際に作品へと結実させていきます
◎《円の中に円》(1923)
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と
コンポジションという言葉は
音楽用語で“作曲する”
という意味もあります
カンディンスキーはある時
作曲するように絵を描くことを思いつき
音楽の持つ純粋性、神秘性、抽象性を
絵画表現に求め
適用しようと試みるのです
◎《コンポジションⅧ》(1923)
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まさに音楽的な躍動感に溢れた一作
またこちらなんかは
楽譜をストレートに想起させますね
◎《連続》(1935)
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と
カンディンスキーが抽象絵画を追求していく中で
留意していたことがあります
それは対象を
完全に失ってはいけないという点です
彼は対象を失った絵画は
装飾化するという懸念があるとして
とかく対象が希薄化する傾向にあっても
具体的な主題やモチーフを取り上げ
それらを自身の内面世界に反映させる
という立場、スタイルをとり続けました
カンディンスキーは
「絵画と装飾の間には精神的な内容の有無」
があると述べ
両者の間には
根本的な違いがあると考えていました
◎《多彩なアンサンブル》(1938)
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カンディンスキーの内面の産物とはいえ
微生物のごとき有機的な形態が
緻密で色鮮やかで美しいですね
いやあ
この豊穣なる無二の世界観
というわけで
抽象絵画というジャンルを築いた
カンディンスキーの宇宙の一端を
垣間見た次第です
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