映画『ベルファスト』
2021年製作
アイルランド・イギリス合作の
『ベルファスト』
↓↓↓
監督・脚本・製作は
イギリスが誇る才人
ケネス・ブラナー(1960-)
↓↓↓
う〜ん
この人が出演したり製作する映画というのは
とかく大作物やシェイクスピア物などが多く
どうもド真ん中でベタすぎるといいますか
正直、僕は
個人的にあまり好みではありません
…が
本作はいい
その出たがりな性分(⁈)を封印し
文字通り裏方に徹し
幼少期のブラナーを投影した少年の目を通して
自身がかつて過ごした
北アイルランド、ベルファストでの日々を
モノクロの映像で
ときにリアルに
ときにノスタルジックに紡いでいきます
↓↓↓
1969年
北アイルランドのベルファストで生まれ育った
9歳の少年バディは
家族に囲まれて
平和で満ち足りた日々を送っていた
ところがある日
プロテスタント系住民の武装集団が
カトリック系住民を攻撃
一転して
街は暴力にまみれた危険地帯と化してしまう…
その尋常ならざる光景
あまりの衝撃に
しばし呆然と佇む少年バディ…
↓↓↓
楽しく穏やかな日常が
一瞬にして変容してしまう
少年の頃の
遠い記憶の残像…
映画は冒頭
カラー映像による
現在のベルファストの美しい街並みを捉え
それと対比するように
ブラナーの脳裏にある
かつてのベルファストを
モノクロの映像で鮮烈に映し出します
↓↓↓
プロテスタントとカトリックの対立が激化した
1960年代末の北アイルランドにおける
政治的混迷期を背景に
しかしそうした中でも
少年バディは
厳しく愛情深い母親をはじめ
家族の深い絆とユーモアに満ちた環境で
すくすくと育っていきます
↓↓↓
と
しかし
いっこうに暴動が収まる気配がないとなると
必然的にバディの一家は
果たしてこのまま
この地に留まるべきか?
あるいは出ていくべきか?
の岐路に立たされることになります
長年慣れ親しんだ
顔馴染みばかりの地元に対する愛着と
もはや危険きわまりない街と化してしまった
ベルファストに対する不安
との葛藤が家族にのしかかり…
苦悩の末
一家は街を出ていくことを決意します
↓↓↓
う〜ん
つくづく
これはいつの時代
どこの場所でも起こりうる
普遍的な話…
もう亡くなってしまいましたが
僕の祖父祖母が戦争中
生活の糧を求めて
朝鮮半島から日本に移住した経緯を
自ずと想起させ
もとより世界中の移民、難民たちが
様々な事情で故国を追われ
長年住み着いた土地を
離れざるを得なかった境遇を
思わずにはいられません
何より
これは今現在
いや今この瞬間のウクライナにおいて
そのまま当てはまる
まこと深刻で憂慮すべき話だなと
痛感するところです
とまあ
本作は観ていて
何かと思い当たる節が多く
それはどうやら
僕ら在日の小さなコミュニティーや
祖父祖母も含めた家族の一体感など
懐かしくも失われつつある
そんな旧来の価値観
かつての家族のあり方を
つい彷彿させるのかもしれませんね
↓↓↓
またキャストは
全員アイルランド系の俳優陣で固め
より真実味のある空気感を創出
本作で長編デビューを飾った
ジュード・ヒル君が素晴らしいですね
↓↓↓
そしてカトリーナ・バルフが
美しく逞しい母親を魅力的に演じていて
出色でしたね
↓↓↓
さらに
ブラナーの思い入れの深さを表す
象徴的なシーン
家族で度々映画や演劇を観に行くのですが
劇場のスクリーンや舞台だけ
カラーで映し出されていて
これが情感豊かでノスタルジックなムード満点なんですよね
↓↓↓
そんなこんな
映画は少年バディを取り巻く
家族の紆余曲折を描いているのですが
本編の時間は思いのほか短く
かなりテンポよく物語が進んでいき
観ている側は
結構心地よかったりしますね
というわけで
『ベルファスト』
いやあ
見どころ満載
多くの印象深いシーンに彩られた
ケネス・ブラナーの堂々たる演出が冴え渡る傑作
これはオススメです
↓↓↓
おまけ
ベルファストといえば
以前、強烈な映画を観た覚えがありますね
2014年製作のイギリス映画
ヤン・ドマンジュ監督の
『ベルファスト71』
↓↓↓
上記『ベルファスト』と対照的な描写で
ベルファストでの暴動の鎮圧に当たった
ある若いイギリス軍兵士が直面する恐怖を
迫真のドキュメンタリータッチで
緊張感たっぷりに描いた力作です
しっかし暴動のシーンは
すごい迫力でした
この記事へのコメントはありません。