映画『LAMB/ラム』
う〜ん
はっきり言って好きだな〜
こういう映画
もうたまりません
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2021年製作
アイスランド・スウェーデン・ポーランド合作の
『LAMB/ラム』
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監督はアイスランド出身の
ヴァルディミール・ヨハンソン(1978-)
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…
霧に覆われた山間地帯
広大な原野で羊飼いを営む夫婦
イングヴァルとマリア
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ある日
羊の出産に立ち会うと
奇妙な生き物が産まれてくる
子供を亡くした過去をもつ夫婦は
その生き物に
亡くなった娘と同じ名前のアダと名付け
子供のように大切に育てていくが…
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途中
さりげなく映る
生き物の衝撃的な容貌
それは羊の顔と人間の身体が組み合わさった異様な姿…
アイスランドの荒涼とした風景
吹きつける強風
厳しい大自然の中で展開する
シュールで異質な物語
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淡々と穏やかで
それでいて
不穏…
独特のゆったりとしたテンポ
極端に少ないセリフ
ズンズンと響き渡るような音楽も
深淵なムードを助長しています
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劇中
時間旅行を可能にする理論発見のニュースがあった
というようなセリフが夫婦間で交わされ
物語の奇抜さからしても
本作の時代背景は明示されませんが
あらかた近未来かもしれませんね
と
しっかし
このアダという生き物
最初は妙にリアルで
得体の知れない不気味さを
つい感じずにはいられないのですが
観ていくうちに
程なくして
成長したアダを目の当たりにしたあたりから
次第に親近感が湧いてきて
やがて愛おしく思えてくる不思議…
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なんとも無邪気でホンワカしていて
可愛いんですよね
夫婦がわが子を得たりと溺愛するのもわかる
…ような気がします
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が
そうはいってもね…
幸せを掴んだかのような夫婦の喜びぶりに対し
一方で
少なからぬ違和感を覚えるのも事実
それは
映画のトーンが
多分に
ただならぬ異様な空気に覆われているから…
まったく先の読めない展開ながら
正直
不吉な予感しかしないから…
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この映画
実は冒頭から
妙な気配を漂わせています
明らかに何か別の
たしかな存在を感じさせているのです
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物語の中盤
アダの母である雌羊が
家の外で鳴き声をあげながら
執拗にわが子に近づこうとする姿に
妻マリアは苛立ちを覚え
母である雌羊を衝動的に銃殺してしまいます
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しかしこのことが原因で
映画は
最後に
思わぬ残酷な結末を迎えます
そのただならぬ正体が露わになるとともに…
観る者も
アダにどこまでも癒されつつ
自然の摂理を
えも言われぬ絶望感を
無言のうちに突きつけられます…
本作は
羊飼いという設定と決して無関係ではないであろう
キリスト教的価値観と
そして
アイスランドの厳しい風土に根ざした
北欧の神話的な世界観が
絶妙に融合し
終末論的なペシミズムを終始たたえていて
いやあ
つくづく
なんという
無二の映像表現でしょうか
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このヨハンソンという若い監督
才能あるなぁ
というわけで
『LAMB/ラム』
観る者の心を激しくざわつかせ
そして鷲掴みにするような
そんな
クセの強い怪作
あまりオススメはできませんが
いやいや
個人的には
これはまぎれもない傑作です
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