映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
先日のフィリピン行きの飛行機の中で観ました
今年の米アカデミー賞で
主要6部門を総ナメにした話題作です
2022年製作のアメリカ映画
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
↓↓↓
略して『エブエブ』
監督・脚本を手がけたのは
“ダニエルズ”の愛称で
共同作業を行う若きコンビ
ダニエル・クワン(1988-)とダニエル・シャイナート(1987-)
↓↓↓
いやはや
しっかし
なんという映画でしょうか
…
アメリカでコインランドリーを営む中国系アメリカ人のエブリン
↓↓↓
夫との関係は冷めきり
娘は言うことを聞かず
父親は頑固そのもの
領収書の山に埋もれ
国税局の監査を受けて税金の再申告を迫られ…
↓↓↓
そんなうだつの上がらない日々の生活に疲れたエブリンに
突如開かれた異世界の扉
現宇宙と並行して存在するというマルチバースを自在に飛び交い
次々と別の新たな自分になり変わり
人類を救う闘いに挑む
↓↓↓
って
ハハハ
何なんだ、この突拍子のなさは…
マルチバースに行ったエブリンは
並行するいくつもの世界で
様々な能力を身につけています
カンフーの達人だったり
↓↓↓
トップ女優だったり
レストランのシェフだったり
それらの能力を自在に操ることができます
↓↓↓
また
マルチバースに瞬間移動するための“ジャンプ”の際には
非常識でおかしな行為をしなくてはならないなど
かなりマニアックでナンセンスなルールが敷かれていたり
あるいは
移動した世界が人間界とそもそもまったく異なる
奇妙な世界だったり
それら諸々の要素が
エブリンの記憶の断片として蘇り…
そうしたシーンが
早いカット割で次々押し寄せては切り替わるのですが
所々のプロセスが観ていて
イマイチよくわからなかったりで
あまりに奇想天外なストーリー展開に
ちょっと一回観ただけでは咀嚼しきれません
…が
しかし
つくづく
いまだかつて観たことのない独創的な世界観です
↓↓↓
マルチバースという異次元の発想
脳内パラダイムの自由奔放な転換
その圧倒的なヴィジュアル表現の核をなす
カンフー・アクションの妙
そして最後はホロっとさせられ…
う〜ん
ホトホト打ちのめされる僕がいましたね
↓↓↓
って
あまりの荒唐無稽さもさることながら
本作を
作品賞、監督賞、主演女優賞(ミシェル・ヨー)はじめ
この年の顔に選んだ
アカデミー賞の会員たちに
まずもって驚かされましたね
何かこう
アカデミー賞が変わるんだ
という意思の表れなのは
容易に想像がつきますが
それにしちゃあ
本作は斬新でぶっ飛びすぎで
アカデミー賞からして
ちょっとこれ見よがしで
あざとさが目につく賞の選定かな
と思わないでもないですが
しかし特筆に値する側面は否めませんね
近年
アカデミー会員に占める白人男性の割合を下げるべく
会員数を増強し
白人に偏らず
LGBTQ+に配慮した
多様性を求めた映画を志向していくとする流れに
乗った形での
より具体的には
2020年の米アカデミー賞で
韓国映画『パラサイト』が受賞し
アジアの時代がにわかにやってきた流れに
乗った形での
今回の『エブエブ』の受賞劇だったかな
とあらためて思うところです
本作を観ていて
主人公の姿に
女性やマイノリティの境遇を投影し
そうした状況を跳ね除け
新しい時代を切り開いていくんだという
たしかなメッセージを感じとり
アジアのパワーをまざまざと見せつけられましたが
つくづく
そうした礎を半世紀前に築いた
ハリウッドで最も有名なアジア人
ブルース・リーに対する
今更感満載のオマージュが
本作の全編にわたるカンフー・アクションに
これ如実に見てとれ
何よりキー・ホイ・クァンの
(…グーニーズの子役!全然変わってない)
ウエストポーチを使ったヌンチャク・シーンは
これ、あからさまなリーのパロディで
↓↓↓
半世紀前
白人中心主義のハリウッドの中で
ひとり気を吐いたアジア人
ブルース・リーに対する賛辞の念が
愛着をもって込められたシーンでしたね
↓↓↓
そしてアカデミー会員も
ブルース・リーと
以降、脈々と受け継がれてきた
アジアのしなやかな風を
リスペクトを込めて称えた
これ何よりの証かな
まあ過去にも
『マトリックス』(1999)しかり
『グリーン・ディスティニー』(2000)しかり
アジアの影響はつどハリウッドに及んではいましたが
不遇を強いられつつも
長い歴史を誇るこうしたアジアの世界観が
本作『エブエブ』の主要部門受賞によって
今更ながら
いよいよ
メインストリームに躍り出たんだなぁ
というたしかな実感を
時代の変遷を通して
感慨深い目で眺めている僕がいましたかね
とまあ
主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー
やりましたね
これは快挙です
生活感漂う様と切れ味鋭いアクションのギャップがお見事です
↓↓↓
それと国税庁の職員を演じた
ジェイミー・リー・カーティス
一見誰だかわかりませんでした
しっかしそのシュールな存在感には笑えましたね
↓↓↓
というわけで
何かと話題が尽きませんね
怒涛の勢いで攻めまくる怪作
『エブエブ』
いやあ
是非とも
もう一度観たい異色の映画です
↓↓↓
この記事へのコメントはありません。