映画『イノセンツ』
前回に引き続きですが
映画はなにも
アメリカに限らない
ということで
今回は
北欧に目を向けてみたいと思います
北欧(=北ヨーロッパ)は
スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドの
5国を指していますが
う〜ん
いま北欧の映画が
世界的に熱い視線を浴びているのです
北欧といえば
ドライヤーやベルイマンといった
映画史に屹立するレジェンドから始まり
◎ラース・フォン・トリアー(1956-、デンマーク)や
◎アキ・カウリスマキ(1957-、フィンランド)
といった個性派揃いの監督が
真っ先に想起されるかと思います
が
なんのなんの
ここ近年
才能ある監督たちが
続々と輩出されています
ザザッと挙げてみますと
◎『ドライヴ』(2011)、『ネオン・デーモン』(2016)の
ニコラス・ウィンディング・レフン(1970-、デンマーク)
◎ 『テルマ』(2018)、『わたしは最悪。』(2022)の
ヨアキム・トリアー(1974-、デンマーク)
◎『LAMB/ラム』(2021)の
バルディミール・ヨハンソン(1978-、アイスランド)
◎『ハッチング-孵化-』(2022)の
ハンナ・ベルイホルム(1980-、フィンランド)
などなど
優れた作品が多数製作され
特には
“北欧スリラー”と呼称される
サスペンス、ホラーのジャンルで
特異なポジションを確立
その美しくも不気味な世界観が
世界中の注目を浴びているのです
そんなわけでして
今回ご紹介の作品です
2021年製作
ノルウェー・デンマーク・フィンランド・スウェーデン合作の
『イノセンツ』
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監督・脚本は
ノルウェーの新たな才能
エスキル・フォクト(1974-)
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以下、サイトより転載
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ノルウェー郊外の住宅団地。
夏休みに友達になった4人の子供たちは、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。
近所の庭や遊び場で、新しい“力”を試す中で、無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こりはじめるのだった。
…
監督自身
大友克洋の「童夢」から
インスピレーションを受けていると
公言している通り
本作は
その影響が顕著で
そこに
北欧特有の
不気味な静謐さを孕んだ映像とが相まって
まこと異質な世界観が形成されています
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郊外の団地に引っ越してきた
9歳の少女イーダと
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自閉症で口のきけない姉のアナ
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両親は
アナのことばかり気にかけているので
イーダは内心不満に思っていて
アナの口がきけないのをいいことに
たまに足をつねったりして意地悪している
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やがて同じ団地に住む
ベン、アイシャと知り合い
4人で遊ぶようになる
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と
遊んでいるうちに
子どもたちはそれぞれ
特殊な能力を秘めていることが判明する
ベンは念力で小さな物体を動かすことができ
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アイシャはテレパシーを使ってアナと思考を共有することができる
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アナはアイシャと心を通わせるうちに
テレパシーと念力の両方を持つようになり
そしてイーダは
3人の超能力を引き出す力に目覚めていく
そうして森や公園で
無邪気に遊んでいた子どもたちだが
次第にベンがその能力を増大させ
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物だけでなく人を操るようになり
ある時、人に怪我を負わせ
さらには殺人まで犯してしまう
いち早く危険を察知したイーダは
ベンの暴走を止めようとするが
なすすべもない
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そうした中でアイシャも殺されてしまい
ついに団地の中庭の池を挟んで
ベンとアナが対峙
超能力を駆使した静かな戦いが始まる
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イーダも駆けつけ
アナの力を引き出してゆく…
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穏やかな日常
他の子たちはいつもと変わらず遊んでいる
大人たちも気づかない
しかし表裏一体で
特殊な力を宿した子どもたちが
閉ざされたパラダイムの中で
熾烈な争いを繰り広げている
張りつめた空気感
ざわめく風
池の水面を這う波紋
そこかしこに垣間見える不穏
狂気を孕んだその様が
生々しくも
リアルな質感をともなって
観る者に迫ってきます
う〜ん
面白い
子どもたち4人が
もうすごい存在感です
大友克洋の漫画に出てきそうな
大人びた表情ながら
無垢な危うさを秘めたイーダ
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自閉症のアナも圧巻です
アイシャとテレパシーで同期することで
言葉を発するようになり
鍋の蓋などを動かし続ける能力を有するなど
次第に眠っていた力を
覚醒させていく姿がリアルです
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そして終盤に暴走するベンの
この眼力
底知れぬパワーを感じさせます
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また皮膚の白斑が特徴のアイシャも
心が通じ合うテレパシーを駆使して
不思議な存在感を醸します
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なんとまあ
魅惑の世界観でしょうか
いやあ
監督のエスキル・フォクトの
卓越したビジョンとセンスに脱帽です
まさに
北欧映画の凄さを体感できますね
というわけで
『イノセンツ』
無邪気な子どもたちによる
美しくも残酷な物語
これは傑作
是非とも必見です
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