映画『π〈パイ〉』
1998年製作のアメリカ映画
『π〈パイ〉』
↓↓↓
監督・脚本は
『ブラック・スワン』や『レスラー』などで知られる
鬼才ダーレン・アロノフスキー(1969-)
↓↓↓
本作は
彼が29歳の時に完成させた長編デビュー作で
低予算ながら
底知れぬ才気に満ちた
稀に見る異色作となっています
↓↓↓
…
マンハッタンのチャイナタウンに住む
天才的IQの持ち主マックス・コーエンは
人との接触を極力避け
ひとり部屋に篭り
自作のスーパーコンピュータを駆使して
数字の研究に没頭していた
↓↓↓
マックスは
一つの数式によって
宗教真理からウォール街の株価予測まで
世の中のすべての物事を
解明できるのではないか
という信念を抱いていた
↓↓↓
マックスのモノローグ
「第1 数学は万物の言語
第2 全ての事象は数字に置き換え、理解できる
第3 数式化すれば一定の法則が顕れる
ゆえに全ての事象は法則を持つ」
…
強迫観念にとらわれた
悪夢の世界
映画は
早いカット割
ザラついた
手持ちカメラによる
陰影の濃いモノクロ映像で
数字の妄想に取り憑かれ男の行程を
執拗に追っていきます
と
マックスを度々襲う偏頭痛
↓↓↓
不快なノイズ
痛みに悶え
陰鬱の淵に沈む…
↓↓↓
そんなある日
自室のPCに
216桁の数字が表示される
マックスはこの数字に
何か意味があるのではないかと思い込む
その数字は
以前、円周率 (=π) を研究していた
彼の師であるソルも辿り着いていたが
なぜか途中で研究を投げ出してしまっていた
マックスがソルに助言を求めると
かつての師は
「昔の日本人は碁盤を
宇宙の縮図と見立てた
↓↓↓
一見単純で
整然としているようだが
勝負の形は無限に存在する
雪の結晶のように
1つとして同じ形はない
一見単純な碁盤は
実は非常に複雑で
混沌とした宇宙世界を表現しているのだ
我々の世界もまた
それは同じことだ
数学のようにはいかんよ
単純な法則などない」
↓↓↓
そんなソルの話を
マックスは意に介さず
「でも勝負の形を解明できれば
全ての動きを予測できます
私たちはまだ法則に気づかないだけです
必ずあります
碁の全ての勝負の根底をなす法則が
株式市場やモーセ五書に
潜むもののような
216の数字…
絶対に見つけなければ…」
とあくまで言い張り
数字の法則性を見出そうと
更にのめり込んでいく
↓↓↓
…が
しかし
そんな彼の思い込みが
思わぬ形で周囲へと波及し
謎の組織から追われるようになり
次第に精神的に追い詰められていき
↓↓↓
徐々に現実と妄想の境目がなくなっていく
↓↓↓
そうした中
日増しに偏頭痛がひどくなり
苦しみから逃れられないマックスは
終盤
電動ドリルで自ら脳を破壊するに至る…
↓↓↓
ふぅ
なんとまあ
スリリングな展開
全編を貫く緊張感…
マックスの不安定な内面を表現する
先鋭的な映像と刺激的なサウンド
斬新で深遠なストーリーと相まって
たちまちにして
観る者を虜にすること必至
というわけで
『π〈パイ〉』
いやあ
若きアロノフスキーの
ダークな感性
卓越したセンスにもう脱帽ですね
今更ながら
これは必見です
↓↓↓
この記事へのコメントはありません。