映画『ユマニテ』

1999年製作のフランス映画
『ユマニテ』
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監督・脚本は
現代フランス映画界が誇る鬼才
ブリュノ・デュモン(1958-)
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タイトルの”ユマニテ”とは
英語にすると
“humanity(ヒューマニティ)”
つまり
“人間性”
などとなります
果たして
本作で描かれる”人間性”とは
一体?
…
北フランスの田舎町で警部補の任につくファラオン
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妻子を亡くし母と二人で住む彼は
近所の女性ドミノに好意を抱いている
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そんな折
町で残忍な手口の少女強姦殺人事件が発生
彼は捜査を担当することになるが…
北フランスの
静謐で豊かな田園風景の中に漂う
不穏
乾いた空気
ざわめく気配
およそ生気の感じられない
空虚で虚無的な世界観
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主人公ファラオンの
吸いこまれそうな眼差し
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う〜ん
彼は
どこかむっつりした陰気な印象で
一見
何を考えているのか
ちょっとわからなかったりします
…が
映画を観ていくうちに
彼の立ち位置が
思いもよらない視点をともなって
次第に浮き彫りになってきます
よくよく
ファラオンは
美しい田園風景を
凄惨な殺人事件を
想いを寄せる女性が他の男と性行為に耽る場面を
彼の周囲を取り巻く人々の日常のディテールを
さらに言うなら
世の不条理を
ありのままの現実を
生々しい人間の営みを
その剥き出しの姿を…
ただ淡々と
見つめ続け
どこまでも
己の問題として
受容しようとしています
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そうして度々
この残酷な世の中に
絶望し
苦悶し
叫び声を上げるのです
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と
程なくして
殺人事件の犯人が逮捕される
犯人の男は
ファラオンもよく知るドミノの恋人だった
警察に捕まり
うなだれる男に対し
彼は寄り添い
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そして
おもむろに接吻する…
全身で受け止め
彼を
赦し
肯定する
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つくづく
ファラオンの行為は
正直
ちょっと違和感です
…が
しかし
そんな彼に内在する
いわばユマニテ(=人間性)に
生身の
傷つきやすい
あくまで等身大の存在としての
神を垣間見ます
そう
彼に根ざす
想像を絶する深い愛
あまりにMな
どこまでも受動的なあり方は
もはや神の領域といってもいい
ある種
絶対的なスタンスなのです
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底冷えする暴力性
諦念漂う
明日をも見出せぬ
この人間世界を憂いながら
それでも真摯に向き合い
凝視し続けるファラオンの眼差しには
たしかな強度が
生きる根源の力が宿っているようです
そして映画は
真の人間性の意味を
観る者に問いかけます
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ふぅ
意識の変革を促す
即物的で
唐突なストーリー展開に
終始戸惑いながらも
驚嘆と衝撃に見舞われること必至ですね
というわけで
『ユマニテ』
鬼才デュモンが放った
恐るべき傑作
って
実際のところ
あまりオススメはできませんが
まぎれもなく
これはすごい映画です
おまけ
デュモンの作品
『フランドル』について
以前書いた記事は→こちら










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