映画『博士の異常な愛情』

1964年製作
イギリス=アメリカ合作
『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』
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監督・脚本・製作を兼ねるのは
ご存じ
世界にその名を轟かす巨匠
スタンリー・キューブリック(1928-1999)
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米ソ冷戦下における核戦争の恐怖を
痛烈に皮肉ったブラック・コメディの傑作です
…
ある日
アメリカ空軍基地の司令官が
突然
ソ連の核基地への水爆攻撃指令を発してしまう
この発令は精神異常をきたした司令官の独断によるものだった
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そして一方のソ連側は攻撃を受けると
自動的に反撃する爆弾を有していた
システムが作動する前に
何とか食い止めなければならない
緊迫した状況の中で
大統領は軍や政府の要人が一同に会した席上で
ホットラインを通じて
ソ連に事態の収拾を図り
両国は無事和解する
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…が
米軍爆撃機1機だけが
攻撃中止命令を聞き逃し
あろうことか
水爆は
投下されてしまう…
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ふぅ
人類存亡の危機という
尋常ならざる事態に直面した
世界の命運を握る政治家、軍人、科学者たちが
皆一様に奇人変人揃いという悪夢
張り詰めた緊張感漂う会議の物々しい雰囲気と
そこに出席しているシュールな狂人たちとの
この恐ろしいまでのギャップ
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カリカチュアされた人物造形
誰一人まともな人間がいない…
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指導者たちによって繰り広げられる
愚行の数々
狂気の沙汰
取り返しのつかない結末
製作当時の米ソ緊張の高まりを
如実に反映した
ショッキングな内容
それ以上に
力強いショットの数々
それらを象徴する
ラストのキノコ雲は
う〜ん
もはや笑うしかない
でも
笑えない…
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何より
“マッドサイエンティスト”
ストレンジラブ博士の
底冷えする不気味さ
暗闇から姿を現すシーンの不穏
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終始
うすら笑いを浮かべる
この男は一体?
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演説をぶつ博士
度々ヒトラーを信奉するような
過激で奇怪な言動を連発する
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何なんだ
このイカレ野郎は…
つくづく
科学者の妄想
ナチスドイツの幻影
それは戦後もなお
決して潰えてはいない
現代においても脈々と息づいている
東西冷戦下における両国の軍拡競争
…核兵器の開発に明け暮れる米ソの姿に
それは如実に表れています
資本主義であれ
共産主義であれ
そこに
内なるナチズムが垣間見えると
キューブリックは警鐘を鳴らしているのです
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ふぅ
なんという毒気
まあ洒落になりませんね
撮影当時の
緊迫した米ソ対立の状況を考えると
これは決して絵空事ではなく
リアルな話として迫ってきますね
と
あらためて
主演はイギリスの名優
ピーター・セラーズ
本作において
圧巻の1人3役を怪演(!)
アメリカ大統領
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英国軍大佐
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そして
ストレンジラブ博士
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さらに
ソ連への先制攻撃を訴えるタカ派の将軍に
ジョージ・C・スコット
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核攻撃の指令を出す狂った司令官に
スターリング・ヘイドン
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皆ホント揃いも揃って
怪演を披露してくれますね
というわけで
『博士の異常な愛情』
鬼才キューブリックによる
ブラック・ユーモアに満ち満ちた怪作
いやあ
今更ながら必見です
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おまけ
キューブリックの作品について
以前書いた記事です
◎『恐怖と欲望』→こちら
◎『突撃』→こちら
◎『2001年宇宙の旅』→こちら
◎『時計じかけのオレンジ』→こちら










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