映画『2001年宇宙の旅』

1968年製作

アーサー・C・クラーク原作

スタンリー・キューブリック監督の

2001年宇宙の旅』

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言わずと知れた

映画史に燦然と輝く名作です

いやあ

今さらながらですよね

しっかし今観ても

全く色あせない

どころか

年を追うごとに

その独創性、革新性が際立ちます

昨今のCGじかけの映画では

まずたどり着けないであろう

映画表現がなし得た極北

太古の時代から

人類の進歩の過程において

度々出現してきた

謎の黒板モノリスを極秘調査するため

5人の科学者を乗せた宇宙船ディスカバリー号が

木星へと向かうが

そこで彼らが目にし体験したものとは

ふと

僕はいま43

2001年』をはじめて観たのが高校生の時ですから

およそ25年以上も前になるのか

いやはや

高校生だった当時

聞きしに勝る映画ということで

肩に思いっきり鉛を入れて観た記憶があります

でも気がついたら

眠りの中

この映画はいつか映画館でちゃんと観たいと思っていました

そうして

その機会は程なく到来

今から15年くらい前に

確か有楽町でリバイバル上映され

劇場での鑑賞が叶いました

観るのはこれで通算4度目

今更ながら気合が入りました

そして

度肝を抜かれました

昔の長尺の映画にはよくあったと聞きますが

映画館のスクリーンの幕が上がると同時に

イントロらしき音が流れ出します

場内は暗転

暗闇の中で

ひたすら静謐な音楽が流れ続けます

これから始まるであろう

壮大なるスペースオペラを

観劇するための準備体操というか

文字通り

前奏ですね

それにしても

長い

1

2

真っ暗な中での前奏は

普通の時間の倍くらいの長さに感じます

およそ2分くらい経ったでしょうか

次第に緊張の糸がほつれだし

場内がざわつき始めます

一向に映画が始まる気配がない

映写ミスか何かではという

あらぬ動揺が場内を覆い尽くした

まさに

その瞬間

おもむろに宇宙の映像

やがて天体が出現

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そこに流れる

おなじみ

シュトラウスの交響曲

「ツァラトゥストラはかく語りき」の導入部

パーパーパー、パラーッドンドンドン…”

パーパーパー、パラーッドンドンドン…”

そして

天体が1個、2個と立ち現れ

最後の

3個目の天体が現れるタイミングで

音楽はクライマックスの高揚を迎えます

パーパーパー、パラーッパパパーパー

パーラーラー

鳴り響くシンバルの音と共に

バーン!

大きなタイトル文字が表示

2001A SPACE ODYSSEY

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この文字が

壮大な交響曲に乗って

天体と共に

画面いっぱいに映し出された

その瞬間

全身鳥肌が立ち

僕の眼から

一気に涙があふれ出ました

何なんだ

このこみ上げる感情は

う〜ん

あれは驚きでしたね

完全に眼と耳

五感全体が貫かれたのでしょう

演出はいたってシンプル

だがこれほどの刺激が他にありましょうか

強烈なオープニングから一転

舞台は太古の原始世界へ

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類人猿たちが

謎の物体モノリスに触れることによって

道具を使うことを覚えたそのときから

時空を超えて

一気に宇宙へと飛翔するプロローグ

そして

地球を捉えたあまりにも美しい映像と

ワルツ「美しく青きドナウ」による

完璧なハーモニー

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う~ん

しかし

シンメトリーの構図を多用した

キューブリックの潔癖なまでの画面構成も手伝って

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映画は

不気味なまでの静けさ

張り詰めた緊張感を

終始漂わせながら

淡々と進行していきます

何といいましても

この映画の軸は

劇中

唐突に

度々出現する

謎の黒板「モノリス」の存在です

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あれは一体何なんだ?

モノリスのエネルギーを受けた者たちが

人工知能ですらも

途端に変容していく

その様

モノリスそのもののが放つ

不気味なまでの存在感

あまりにも周囲とかけ離れた違和感

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画面全体を横溢する強烈な磁力

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モノリスは

神とも

知的生命体とも言われていますが

果たしてどうなんでしょうか

宇宙船を管理する

人工知能HAL9000

突然の反乱

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無機質ながらも

にわかに立ち上がってくる悪意

もはや制御不能

抗い得ない科学の脅威

果てしなく広がる

宇宙空間の恐怖

そうして

やがて映画は

未知のゾーン

スターゲイトに突入します

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文字通り

眼を奪われる体験

それまでの抑制が

一気に解き放たれます

そしてラスト

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一人生き残った船長が

朽ち果てるまでの

大胆極まりない

時間の超越を経ての

新人類スターチャイルドへの進化

モノリスが果たす役割は

実はこの瞬間のためにこそあった

う~ん

新たな生命が誕生するプロセスを

長い人類の歴史に重ね合わせるという壮大なスケール

科学と宗教

過去と未来

静と動

抑圧と爆発

論理と感情

様々な相反するテーマを内包しながら

映画は未知なる世界を展望します

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深淵なテーマがもたらす思索

その果てに見える姿とは

2001年』に関する解説や論議は

1968年の公開以来

約半世紀もの間

それこそさんざん語り尽くされてきました

クラークの小説はもとより

マニアックな考察に至るまで

書籍やネット上など巷に氾濫しています

しっかし

こんなこと書くと元も子もないのですが

そもそも

この映画について語ることに

一体

どれだけの意味があるのでしょうか?

この映画について語ろうとすればするほど

どうにも稚拙な言葉だけが

フワフワと浮き上がってしまいます

最も大切なこと

それは

映画を観ている間中

僕は

まぎれもなく

宇宙にいたということ

監督のキューブリックは

この映画の製作意図について以下のように語っています

「言葉で説明できない種類のもの

つまり視覚的体験を

観る人の意識の内部へ到達するような

強烈な体験を

私は創造しようとしたのだ」

僕は

あえて断言します

映画は体感するもの

それにはまず

映画館で観るべきであると

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