映画『ひなぎく』
伝説のチェコ映画
1966年製作の
『ひなぎく』
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監督は
その類い稀な感性と反骨精神で
前衛的な作品を発表し続けた
ヴェラ・ヒティロヴァ(1929-2014)
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1950年代後半から60年代にかけて
フランスやイギリスはじめ世界各地で
自由な映画製作の運動が巻き起こり
そうした波に呼応するかのように
60年代の社会主義国チェコにおいて
にわかに花開いた
「チェコ・ヌーヴェルヴァーグ」
本作『ひなぎく』は
厳しい制約が課せられた社会主義政権下において
表現の自由をまさぐりながら産み出していた
この稀有な時代を
まさに代表する一作で
日本でもカルトの傑作として知られています
本作がチェコで公開された2年後の1968年は
本国において
「プラハの春」と呼ばれる民主化運動が大々的に繰り広げられるも
結果的にソ連の軍事介入を招き
運動は鎮圧(=チェコ事件)
自由化を推し進めた政権は解任され
元の木阿弥状態の親ソ連による正常化体制に帰着します
そうした背景の中で1970年
本作の内容が
政府への批判・転覆の意図ありとみなされて
監督は当局から発禁処分を受け
以後7年間、活動を禁止されてしまいます
そんな
いわくつきの『ひなぎく』ですが
作品の噂は日を追うごとに広まり
やがてチェコで最も知られた映画のひとつとなり
ヒティロヴァ監督の評価を決定づけることになるのです
とまあ
そういうわけですが
この映画
内容的には
う〜ん
なんといいましょうか
適切な言葉が見つからないのですが
正直
最高なんです
本作は主人公の女子2人
マリエ1(姉=左)とマリエ2の姉妹が
とにかく
やりたい放題
全編
もうひたすらに
悪戯の限りを尽くします
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マリエ2と“金持ちパパ”との食事の席に
マリエ1が飛び入り参加して2人で食べまくったり
ダンサーのショーを妨害したり
酔っ払って他の客に絡んだり
牛乳のお風呂に入ったり
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部屋中を紙きれで飾って、それを火で燃やしたり…
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おいおい…
挙げ句の果ては
とある屋敷に忍び込み
ズラリ並んだ豪華なご馳走の数々を
食って飲んでは片っ端から荒らしまくり
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シャンデリアに乗ってス〜イスイ
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って
しっかしまあ
よくよく
怖いもの知らずの
女の子2人の
この
突き抜けたパワー
もう破壊力抜群です
何より
レトロでポップで可愛くて
そして
キッチュで過激で…
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いやあ
この独特の世界観
ガーリー・センス炸裂です
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テンポのいい音楽と相まった
実験的な映像の数々や
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どこかパラジャーノフの映画を彷彿させる
装飾性豊かな美術センスなど
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本作は
女子2人によって繰り広げられる
自由奔放なドタバタ劇
…にとどまらない
前衛的で革新的な表現への試みが
随所に見てとれます
その上で
なおかつ
例えば終盤のシーン
おそらくは党の幹部のために
しつらえられた豪華な食事を
散々食い荒らした上に
わざわざ靴で踏みつけていくという
反社会的行為…
よくよく
全編
一事が万事この調子で
う〜ん
これを体制批判と呼ばずして
なんと呼びましょうか
本作は
政府から発禁処分を受けてしかりの
これまぎれもない問題作ですね
↓↓↓
というわけで
オシャレで可愛いガールズムービーにして
その実
確信犯的な反体制映画
『ひなぎく』
あらためて
ヒティロヴァ監督の
芸術家としての気骨
何より美的センスが爆発した傑作
是非ともおススメです
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