アントキノ思い出
あれは
たしか
僕が中学生の頃でしたかね
地元の足利で
新日本プロレスの興行が開催されまして
当時、プロレス少年だった僕は
喜び勇んで会場に足を運びました
と
全日本の馬場と違い
新日本の場合は
基本、何があっても
メインイベントは猪木と決まっていました
この日の興行も
御多分にもれず
メインで猪木登場
タッグだったと思いますが
メンツはすっかり忘れましたね
と
アクシデントは入場時に起こりました
イノキボンバイエの曲とともに
颯爽と入場する猪木に
文字通り殺到するファンたち
何を隠そう
僕もそのひとりでしたが
あまりにファンが群がり過ぎて
とても猪木に触れるどころか
近づくことすらできません…
う〜ん
いま思えば
僕もバカだったなぁ
意を決し
捨て身で人混みの中へ突入していきましたが
それでもやはり
猪木に近づくことはできても
とても触る余地などありません
そんな状況下で
あろうことか
ここしかないと
僕は
なんと
猪木の頭に手を伸ばし
あのポマードで固めた髪の毛を
とっさに
グシャグシャッと
かき乱してしまったのです…
と
その瞬間
猪木に同行していた若手レスラーのひとりが
(誰かわかりませんが…)
僕の胸ぐらを鷲掴みして
「どこ触ってんだ、このヤロー」
と
そのまま場内の誰もいない端まで連れて行かれて
ボカスカ…ボカスカ…ボカスカ…
そして締めは
長州率いる維新軍の“太鼓の乱れ打ち”に遭ったような衝撃
容赦ありませんでしたね…
一瞬
何が起こったのかわからず
しばらくの間
痛みとも驚きとも恐怖ともつかない
複雑な思いにとらわれつつ
暗い会場の隅で
ひとりうずくまっていた僕は
やがて敗残者のように
トボトボと自分の席に戻り
メインイベントを観戦
って
それはそうと
嗚呼
猪木のセットした髪は
心なしか乱れていた
…とさ
つくづく
われながら
猪木さんに
申し訳ないことしちゃったなぁ
と
いっこうに収まる気配のない背中のうずきとともに
いつまでも
反省の念にかられていた次第です
ハハハ
そんなこんな
ふぅ
あらためて
アントニオ猪木
最高でした
心よりご冥福をお祈りします
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