映画『ブラック・スワン』

観てきました~

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いやあ

恐ろしい映画でしたね

ナタリー・ポートマンがアカデミー賞を獲ったことでなにかと話題の映画ですが

軽い気分で観ると大やけどします

監督はダーレン・アロノフスキー

前作はあのミッキー・ロークの『レスラー』

とてもダークな作風の監督です

この『ブラック・スワン』は

バレエという特殊な世界の実態

優雅で華やかな世界と裏腹の過酷さ

その影の部分に焦点を当てています

バレエの繊細で華麗な美の世界の裏側では

様々な感情がうごめいています

プレッシャーや葛藤、ライバルへの嫉妬、世代交代、母や振付師との愛憎などなど

同時に

己の肉体と精神を極限まで追い詰める世界

逆説的な言い方になりますが

僕はこの映画を観ながら

バレリーナの美しさを改めて実感しました

光と影の総量は等価

影の部分が暗ければ暗いほど

光がまばゆく輝きます

バレエの過酷さがそのまま

その美しさに反転するのかな、と

いやあ

光と影のコントラストがことさら強烈です

そしてその象徴が

ここでは白鳥と黒鳥で

プリマはその両方を演じなくてはならない

これはまさに共生を描いた映画です

バレリーナはどこまでも完璧を追求します

しかし完璧は神の領域

なかなか到達し得ない世界

この映画は

『白鳥の湖』のプリマに選ばれた主人公ニナが

白鳥はうまく踊れるのですが

どうしても黒鳥を自分のものとして表現することができずに

悩みぬく過程を描いています

そうしたニナの焦燥感が

全編を覆い徐々に加速します

手持ちカメラによる

ザラザラとした肌触りの映像が

主人公ニナに執拗につきまとい

(とにかくアップが多用)

それによってバレリーナのリアルな姿が

否おうなく露呈します

接写による

ニナの荒々しい息づかいや

トウシューズのキュッキュッとした音など

生々しい臨場感が伝わってきて

バレエがいかに肉体を酷使する職業であるかを

観る者も体感できます

またニナに肉迫したカメラは

彼女の心の内をもあからさまにします

目まぐるしく変わる表情

ニナは大役のプレッシャーから

神経を擦り減らし

次第に追い詰められ

そして徐々に精神がむしばまれていきます

幻覚を見るようになり

自傷行為に及び

性の妄想に取りつかれていくのです

鏡が効果的に使われていますね

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しかし

狂気を帯びていくにつれて

徐々に自分自身が解き放たれていき

苦手としていた黒鳥のごとき

自由奔放で

悪の色香を漂わせた妖艶な表情を

垣間見せるようになっていきます

切れ味鋭い演技のナタリーに思わず釘づけ

そうして極限の精神状態の中で

黒鳥を演じきるために

自分の中の白鳥を殺すに至るのです

まさに諸刃の剣

この映画は現実と虚構があいまいで

主人公二ナの妄想が

そのまま現実の中に出てきたりするのですが

クライマックスの黒鳥のバレエは

妄想も手伝って

異様な迫力に満ちています

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う~ん

それにしてもナタリー・ポートマンは美しかったですね

やがて死と隣り合わせの中で訪れた

完璧なる美の世界

それは一瞬でしかないのかもしれませんが

バレリーナにとっては

至福の境地なのかもしれません

というわけで

『ブラック・スワン』

いやあ

傑作でした

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