道のりは遠く険し

先月

わが家に

下の子が生まれたばかり

ということもあって

上の子どもたちの面倒を見る機会の多い

今日この頃の僕です

いやあ

日頃イクメンやっていない分

たまに担うとなると

こりゃ大変ですね

ハハハ

もっぱら

子どもたちの遊び相手をしたり

お風呂に入れたり

寝かしつけたり

やっているわけですが

う~ん

子どもには子どもの論理

っていうものがあるんですかね

先日の夜

うちの娘を寝かしつけた際のこと

娘がどうしても

寝てくれません

そわそわと動き出し

喋り出し

顔を見ると

目がぱっちり開いています

くぅ

頼むから

寝てくれ

娘いわく

どうしても眠れないとのこと

僕はなかば強引に

いいか

寝るには

3つのことをやるんだよ

1.喋らない

2.動かない

3.目をつぶる

今からやるぞ

ずっと数えるからね

い~い

用意

パチン

い~ち

にぃ~

さ~ん

僕は静かに数え始めました

娘は

僕が数えている間

じっと3つのことを守っていました

100

101

102

103…

おや

100を数えたあたりから

なんとなく

寝息のような声が聞こえてきました

おっ

しめしめ

もしや寝るかも

僕はかまわず数えていきました


200

201

202…

おお

もはや

安定した呼吸のリズムになってきているぞ

娘が

もうすでに寝てても

そのまま

300まで数えよう

僕は

ずっと数え続けました


250

251

252

まるで独り言のような状態が続きます

そうして

とうとう

298

299

300!

ふぅ

やり終えた感に包まれた僕は

子どもたちが

すやすやと寝入る様子を

なかば慈愛に満ちた眼差しで

見つめつつ

しばしの感慨にふける

いやはや

それから

3分くらい経ったでしょうか

唐突に

横から

娘が

「あのね

ギョッ

ええっ

「なんだ寝てなかったの

「うん」

「どうして

呆れた僕に

娘は言いました

「喋らないことはできるんだけど

 動かないで

 目をつぶることができない

だって

楽しくないから

「な、なに

じゃ

ずっと数えているの聞いてたの

「そうだよ」

って

はぁ

う~む

まあ

子どもには子どもの理屈

というものがあるにせよ

とはいえ

くぅ

万事休す

もはやここまで

敗北感に打ちひしがれた僕は

やむなく

かみさんに懇願

やはり

いざというとき

頼りになるのは母親なんだよな

それからすぐに寝たようです

う~ん

つくづく

まだまだ

イクメンへの道のりは

遠く険し

ですね

おまけ

パウル・クレー

《パルナッソス山へ》(1932)

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