映画『快楽の漸進的横滑り』

もう終わってしまいましたが

少し前までとてもレアな企画上映が

ここ渋谷のイメージフォーラムで行われていました

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『アラン・ロブ=グリエ・レトロスペクティブ』

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公式サイトはこちら

第二次世界大戦後のフランス文学界で起こった

物語の構造を破壊する

前衛的な表現スタイルの小説群

いわゆるヌーヴォーロマンの旗手として

また何よりアラン・レネが監督した

『去年マリエンバートで』(1961)の脚本家として知られる

アラン・ロブ=グリエ(1922-2008)

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彼は62年頃から自身も映画を撮り始め

生涯で9本の映画を製作するも

その実験的で難解な作風ゆえ

ほとんど日本で上映されることがありませんでした

今回なんと

初公開作5本を含む6作品が一挙上映されるという

またとない機会が実現

いやあ

これはすごいことなんです

まあ実際そう観に行けませんでしたが

これだけは外すわけにはいかなかったですね

ということで

1974年製作のフランス映画

『快楽の漸進的横滑り』

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文学的で奇妙なタイトルの本作は

公開当時

そのスキャンダラスな内容により

各国で上映禁止や

フィルムが焼かれる事件まで発生した

いわくつきの問題作です

ストーリーがこれまた

あってないようなものでして

主人公のアリスが

ルームメイトの女性をハサミで殺した容疑で

修道会によって施設に収容され

そうしてある異質な空間で繰り広げられる

事実確認の様子が

シュールに描かれていきます

と本作のテーマは

劇中のセリフにもありますが

「類似、繰り返し、置き換え、模倣」で

タイトルの通り

これらの「横滑り」

=「ずれ語られる内容の食い違い」が

現実と虚構、幻想や妄想を混じえて

縦横無尽に展開していきます

ある意味

文学的と言えなくもないですが

その映像表現の自由さ

トンデモ度合いは

もはや文学を突き抜けた地平に立っていますね

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つくづく社会の規範

物語を構成する起承転結

世の因果関係から大きく逸脱した

エロティシズムの顕現

従来の常識、既存の価値観の転覆を目論むかのごとき

まばゆいばかりの女性たちの肢体

いやはや

観る者が無意識下で抱くであろう

密かな欲望の発露

それによる少なからぬ感情の乱れ

動揺といった方が正しいでしょうか

ハハハ

まあそれは往々にして

SMプレイよろしく

緊縛の図に帰着しますが

それにしても

ロブ=グリエのおっさんは

ホント縛るのが好きなんですよね

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観る者を惑わし撹乱させるシュールな映像

虚しく響く単音

意表を突く展開

そして脈絡のない支離滅裂な人物たちの言動

ボディペインティングの妙

挑発的な表情で

カメラの真正面に立つ美女たち

ちょっと珍しい無精髭のジャン=ルイ

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どことなく軽薄でチープ

さらには稚気に富み

遊戯性、いたずら心に溢れ

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でも

なんですよ

これはまぎれもない知の産物

よくよく半世紀以上

50年以上前の作品なのに

なんとまあ新しいこと

表現の若々しさ、みずみずしさ

というよりはむしろ

破廉恥、変態的、倒錯的

そして毒々しくて俗悪

時折、嫌悪感を抱き

感情をかきむしられ

紐で縛られる女性たち同様

緊張を強いられもします

しかしなんとも魅惑的で刺激的なんですよね

全編溢れんばかりのイマジネーションの連鎖に

哀しいかな

めまいすら覚える自分がいます

まこと目を見開かされるとは

こういうこと

意識の解放を促す

自己変革のツールとしての快楽の表現行為

というわけで

いつまでも収束することのない

限りなく自由で開かれた映画の

これ恰好の見本

あらためて必見です

さらに

こちらもすごい

『エデン、その後』(1970)

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ある女学生が辿る魂の遍歴

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