映画『評決』

1982年製作のアメリカ映画

『評決』

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監督は

シドニー・ルメット(1924-2011)

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『十二人の怒れる男』(1957)や『狼たちの午後』(1975)など

数々の傑作を残した社会派の名匠です

そして主演に

ポール・ニューマン(1925-2008)

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本作が

彼のキャリア最高の演技と称されています

にじむ人柄

刻まれる深い皺

50代後半という

老境にさしかかろうとする年代の

アグレッシブさと枯れた感じが

絶妙にブレンドされた中年弁護士を

まことリアルで人間味豊かに演じています

過去のある一件が原因で

酒浸りの日々を送っていた弁護士のフランクは

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ある日、医療ミスで植物人間にされた患者の弁護を依頼される

はじめは軽い気持ちで引き受けたフランクだったが

ベットで寝たきりの被害者を目のあたりにし

ふいに心を揺り動かされる

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病院側の明らかな過失ゆえに

法廷でも楽に勝てると確信したフランクは

示談の申し出を断り

裁判に持ち込む意思を表明する

医療ミスをした麻酔医は

麻酔治療の著書も出している

いわば社会的権威

病院側は証拠隠しもいとわない辣腕弁護士コンキャノンを雇い

十数名からなる弁護士チームによる

徹底的な調査と綿密な対策を開始

フランクは次々行く手を阻まれ

たちまち窮地に追い込まれていく

いつまでも過去にとらわれている

落ちぶれたダメ男が

あるきっかけを通して

自らの中に眠っていた良心に目覚め

再び正義を取り戻そうとします

が、しかし

世の中そう甘くはない

それに人はそう簡単には変われない

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自らの短絡さ、浅はかな楽観性が招いた窮地に

次第にはまり込んでいく

何か特別な要素や才能があるわけでもない

どこにでもいる

ごく普通の男が

絶体絶命のピンチに遭遇した時

果たして

どのような態度、行動を示すことができるでしょうか?

う〜ん

つくづく

これはもう

ひたすらに

汗をかくしかない

実際それしかできない

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恥も外聞もない

フランクは

寝る時間も惜しんで

資料に目を通し徹底的に調べ続け

そうした中で証人を探しあて

証言席に座ってもらうよう説得します

そして法廷においても

なかなか勘を取り戻せず

スムーズな展開が作れない我慢の戦いを強いられながらも

精一杯、弁論に励みます

しかし決め手となる証言を抹消されたりして

判事も相手側に加担する圧倒的に不利な状況が

終始続きます

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そうして終盤

フランクは陪審員に向かって

最終弁論に臨みます

決して流暢に論を展開するわけではない

自身が置かれた境遇

理不尽な現状に対して

忸怩たる思いを抱きながら

それでもなお

諦めずに

とつとつと本音を吐露し

陪審員の良心に訴えかけます

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そしてラストに

陪審員たちが下した評決や、いかに

う〜ん

とことん追い込まれたフランクが

土壇場で見せる意地、粘り

人間的な弱さをさらけ出しながら

それでも己の信念を曲げずに

一歩一歩進んでいく愚直な弁護士を演じたニューマンに

共感を覚えずにはいられません

また

謎の女を演じたシャーロット・ランプリングも出色で

ドラマに含みや幅を持たせていますね

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とまあ

過度な高揚や虚飾、色調を排した

ルメットの落ち着いた演出

ニューマンの終始抑えた演技

練り込まれた脚本の妙味

いやあ

重厚な法廷劇がもたらすこの緊張感

ほのかに立ちのぼる知性

じわじわとあぶり出される映画的味わい

観ていて自ずと

良心を呼び覚まされ

静かな感動に包まれます

というわけで

『評決』

つくづく

こういうのを傑作と呼びたいですね

あらためて素晴らしい映画です

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