映画『袋小路』
1966年のイギリス映画
『袋小路』
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監督はポーランド出身の鬼才
ロマン・ポランスキー(1933-)
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本作は
彼が共産圏だった故国ポーランドから
自由を求めてフランスへと渡り
その後
イギリスで撮った
長編3本目となる作品です
…
全財産を投げうって
孤島の古城を買い取った中年男のジョージは
若妻のテレサと
二人だけの生活を楽しんでいるが
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テレサの方は少々欲求不満の様子
そんな2人のもとにある日
逃亡中のギャング二人組が転がり込んでくる
1人は程なくして死に絶えるも
もう1人のリチャードは何かと要求しては
2人を翻弄し
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しかしやがて3人の間に
奇妙な人間関係が形成される…
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果てしなく拡がる海に
ポツンと存在する古城
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照りつける太陽が眩しく
この上ない開放感に包まれるはずが
う〜ん
満潮になると道が水没して
下界と断絶されてしまいます
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するとどうでしょうか
情景は
たちまち
四方を海に囲まれて
むしろ出口なし的な
どこか囚われたイメージへと一変します
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古城に漂う
不穏な空気
孤立感
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タイトルの通り
『袋小路』とはよく言ったもので
映画は
物語の行方と相まって
絶えず何かに追われ
迫り来る圧力に怯え…
本作は
そうした
焦燥感
強迫観念
心理的な不安感を
スリラーコメディという特異な枠組みの中で
不安定なカメラワークと
オフビートな音楽を駆使して
表現主義的に映像化してみせます
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海に囲まれた開放的なロケーションを
逆手に捉えた
閉塞感
ある種の密室劇
いやあ
ポランスキーの的確な演出
卓越した映像センスが光りますね
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と
本作の数少ない登場人物たちの中で
ひときわ異彩を放ち
女の色香をひとり発散させ
人々を混乱に陥らせる
そんな魅力的な若妻を演じたのが
かの伝説の女優
フランソワーズ・ドルレアックです
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彼女は
カトリーヌ・ドヌーヴの1歳上の実の姉で
可憐なカトリーヌにはない
大人の女のムードを漂わす独特の存在感で
優れた監督の作品に次々起用され
スターの道を歩んでいましたが
1967年に自動車事故に遭い
25歳の若さでこの世を去ってしまいます
なんとも悲劇的な話ですね
本作は
彼女が亡くなる2年前に撮った
貴重な作品となります
フランソワーズ(右)とカトリーヌの姉妹
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とまあ
そんなこんな
映画は
終盤から結末にかけて
畳みかけるように展開し…
袋小路に囚われた男が辿る
虚しくも哀しい末路
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う〜ん
つくづく
本作の閉塞した状況を表した世界観は
戦前に両親がナチスに捕えられ
母親を殺されるなど
過酷な体験を経た後
戦後、ポーランドにおける
共産党の一党独裁体制の窮屈さから
やがて国外へと飛び出していった
そんなポランスキー自身の
まさに心象風景と捉えることができましょうか
というわけで
本作『袋小路』は
ポランスキーの
屈折した心情が投影された異色作にして
それを
シュールなブラックコメディへと転化せしめた
まぎれもない傑作です
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