『デ・キリコ展』

ただ今

上野の東京都美術館にて開催中です

『デ・キリコ展』

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公式サイト→こちら

いやあ

待望の鑑賞でした

イタリアが生んだ孤高の画家

ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)

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イタリア人の両親のもと

ギリシャで生を受けたデ・キリコは

「形而上絵画」と名付けた

ミステリアスな作品群など

独創的な世界観の絵画を確立

後にシュルレアリスムをはじめとする

20世紀美術に多大な影響を及ぼします

本展は

そんな知る人ぞ知る巨匠デ・キリコの

日本では10年ぶりとなる

大規模な回顧展で

世界中から100点以上の作品が集結

初期から晩年にいたる画業を

「イタリア広場」「形而上的室内」「マヌカン」など

自身の創作のモティーフとなるテーマに分けて

詳細に展示しています

いやあ

これは感激です

デ・キリコの作品は

まず日本では

なかなか観ることができませんからね

ということで

以下

主な作品をつらつらとご紹介

◎《自画像》(1922頃)

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生涯にわたり

数多くの自画像を遺しているデ・キリコは

その時々の心境に応じて

作品にいろんな意味を含めて描いています

本作は

自身の姿が投影された古代風の胸像を通して

古典絵画技法を取り入れています

◎《バラ色の塔のあるイタリア広場》(1934頃)

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1910年に

フィレンツェに移ったデ・キリコは

ある日、見慣れたはずの街の広場が

初めて見る景色であるかのような感覚に襲われます

これが「啓示」となって

広場や室内をモティーフにして

不安や空虚さ、謎めいた感覚を

絵画で表現し始めます

◎《沈黙の像(アリアドネ)》(1915)

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簡潔明瞭な画面構成

歪んだ遠近法

脈絡のないアイテムを無造作に配置し

当時影響を受けていた

ニーチェの哲学に宿る”雰囲気”と相まって

日常の奥に潜む非日常を描いていくのです

◎《福音書的な静物Ⅰ》(1916)

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デ・キリコは

これらの作品群を自ら

「形而上絵画」と名付けます

いわく

その定義は

「かぎりなく神秘的で孤独な、奇妙で奥深い詩情」

にある、と

う〜ん

なるほどですね

デ・キリコは後年になって

こうしたモティーフの作品を

さらに洗練させて描いています

◎《イタリア広場(詩人の記念碑)》(1969)

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いやはや

一体何でしょうか

この端正にして

混沌とした空間は…

◎《球体とビスケットのある形而上的室内》(1971)

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そしてデ・キリコ芸術の

重要なモティーフのひとつが

「マヌカン(マネキン)」です

◎《形而上的なミューズたち》(1918)

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彼は数々の作品で

不穏で謎めいたムードをまとった

マヌカンによる人物像を描いています

マヌカンとは

一体何でしょうか?

何の象徴なのでしょうか?

◎《予言者》(1914-15)

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デ・キリコがマヌカンを描き始めた年代は

第一次世界大戦(1914年)と重なります

戦争によって蔓延した

ペシミスティックな世界観…

いわく

「存在の意味を探究する人間の神的な側面を具現化する登場人物」

とあります

こちらは後年の作品

◎《不安を与えるミューズたち》(1950頃)

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う〜ん

僕は観ていて

つくづく

空虚で無力で

他を寄せつけず

人間性を剥奪し匿名性を帯びた

そんなある種

人物の身体性といいますか

存在の本質的なあり様を

このマヌカンに込めているように感じます

◎《南の歌》(1930頃)

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また

「室内風景と谷間の家具」

というのも

デ・キリコのモティーフのひとつで

海や山々など、外の風景が部屋の中にあったり

逆に屋内の家具が外に置かれていたりして

ちぐはぐなイメージを創出することで

観る者を戸惑わせます

◎《谷間の家具》(1927)

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シュルレアリスティックですね

デ・キリコは

1919年頃からルネサンス期の作品を

40年代にはバロック期の作品に傾倒

◎《岩場の風景の中の静物》(1942)

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伝統的な西洋絵画技法を研究し

古典絵画の様式へと回帰していきます

◎《風景の中で水浴する女たちと赤い布》(1945)

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圧倒的な筆致ですね

そうした

いろんなモティーフや技法を模索しながら

長年画業に励んできたデ・キリコですが

晩年の10年余りの時期に

今まで培ってきた形而上絵画を

さらにブラッシュアップさせた

「新形而上絵画」

と呼ばれる作風を打ち立てます

◎《オデュッセウスの帰還》(1968)

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今まで取り上げてきた

形而上絵画の要素となる

室内空間やマヌカンなどのモティーフや

古典主義の絵画を

簡素な画面構成や歪んだ遠近法などを駆使しながら

自由に混在させて再創造

◎《オイディプスとスフィンクス》(1968)

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さらには太陽と月といった要素を

画面上で総合し

過去の作品を再解釈した

新しい境地に到達したのです

◎《燃えつきた太陽のある形而上的室内》(1971)

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いやあ

圧巻ですね

またデ・キリコは

ユニークな彫刻や

◎《吟遊詩人》(1970、ブロンズ)

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また舞台衣装なども手がけていて

それらも展示されていて

面白かったですね

◎《バレエ『プルチネッラ」の衣装:男性用の背中綴じつなぎ》(1931、手彩色されたウール)

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そんなこんな

デ・キリコは

90歳で亡くなるまで

己の感性の赴くままに創作を続け

唯一無二の作品世界を樹立しました

いやあ

なんとまあ

大いなる謎に満ち満ちた

その豊穣なる

創造の軌跡でしょうか

というわけで

『デ・キリコ展』は

8月29日(木)まで開催中です

これはまたとない機会

是非とも必見です

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