映画『荒馬と女』

1961年のアメリカ映画
『荒馬と女』
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監督は
男っぽい作風のドラマ作りで知られる名匠
ジョン・ヒューストン(1906-1987)
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ハリウッド往年の大スター
クラーク・ゲーブル(1901-1960)と
永遠のセックスシンボル
マリリン・モンロー(1926-1962)の
初の共演作にして
なんと
本作が奇しくも
二人ともに遺作となってしまった
ある意味
いわくつきの映画です
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…
離婚が認められた町リノで
離婚手続きを済ませ
晴れて自由の身となった女性ロズリンは
酒場でカウボーイのゲイと知り合い
たちまち意気投合し
やがて二人は互いに惹かれ合い同棲を始める
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そんなある日ゲイは
仲間たちとロズリンを伴い
砂漠へ野生馬の狩りに出かける
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しかし仔馬を連れた馬の群れを綱で捕らえ
縛り上げる男たちの行為を見かねたロズリンは
思わず彼らに非難の声を浴びせ
捕獲を止めようとする…
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本作のテーマは
カウボーイたちが直面する
古き良き価値観の終焉と
彼らの生き方が
もはや現代社会に適合していないことを
描いている点にありますが
う〜ん
久々に観て
なんとも違和感だらけな
感想を抱く僕がいましたね
工業化が進む現代アメリカ社会において
野生の馬を資源として
無自覚に捕獲するという
昔ながらの生活スタイルに従事し続ける男たち
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本作は
時代に取り残された生き方しかできない
いわば最後のカウボーイの姿を描いているのですが
監督の思い入れなのでしょう
映画は表向きには
男たちの生き方を批判していますが
映像や演出はどこかで
そんな彼らの無骨な男らしさを
魅力的に描いています
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ふと
こうした
時代遅れな男たちを
ロマンと郷愁たっぷりに描いた映画は
過去にも度々あって
サム・ペキンパーやイーストウッドなどが
よく扱ったテーマで
時代の移り変わりの空気感が
フィルムに刻印されていて
それはそれで秀作が多いのですが
う〜ん
本作は
観ていて
どうもよくないなぁ
なんともダサいと感じる僕がいますかね
マッチョな価値観の
老カウボーイ役のゲーブルが
鼻につくといいますか
モンローを見る目つきや表情も
ギトギトしていやらしい感じで
正直僕は
ちょっと印象がよくなかったですね
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またモンロー演じるロズリンも
感情的で涙もろく
男性に守られる的な
典型的な50年代アメリカの女性像を体現していて
女性が主体的に生きるいまの時代と照らし合わせてみると
なおさら違和感を覚えます
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男たちが
美しいロズリンを見る目も
ゲーブル演じるゲイをはじめ
皆どこか卑猥なニュアンスが漂っていて
ヒューストン監督の捉える
いかにも50年代的な
男らしさ、女らしさの描写が
観ていて
なんとも古臭く感じるんですよね
と
本作の原作、脚本は
劇作家のアーサー・ミラーで
当時のモンローの夫
しかし二人の夫婦関係は
この時すでに破綻していました
当時、モンローは健康を害していて
撮影中に睡眠剤中毒で入院するほどの
危機的な状態でした
撮影直前には流産もしています
そして夫のミラーとは
本作の撮影終了後に離婚しています
そうした実情を反映してか
ミラーが描いた
本作のロズリンのヒロイン像は
繊細で情緒不安定なモンロー自身のイメージと
まんま重なりますね
さらに
ファザコンで知られたモンローは
夫との不和による寂しさを埋めるかのように
ゲーブルとの親密ぶりを
撮影外でも見せていたそうです
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って
映画の中の二人の様子は
前述したように
僕には
あまりいい印象ではありませんでしたが…
まあそんな二人ですが
本作の撮影終了後
1960年に
ゲーブルが59歳で心臓発作で死去
そして1962年に
モンローが36歳の若さで
薬物の過剰摂取による不慮の死を遂げ
う〜ん
なんとも驚くばかりですね
と
本作にはもう一人
主演二人に引けをとらない実力派俳優
モンゴメリー・クリフト(1920-1966)が出演しています
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彼の演じたパースは
ゲーブルを象徴とするマッチョな男性像に
必ずしも当てはまらない
ヒューストン的には異質な
繊細で優しい側面を持ったキャラクターです
やはり社会にうまく適応できない
陰のある孤独な男で
この役もまさに
モンティ本人とほぼ重なった人物像です
というのも彼は
キャリア絶頂期の1956年に
交通事故によって顔面を激しく損傷
整形手術を施し
なんとか復帰したものの
顔の左右非対称、表情筋の硬さ、発音の微妙な変化など
顕著な後遺症が残り
鎮痛剤、睡眠薬、アルコールが手離せず
精彩を欠いた状態が続きます
本作は
そうした中で出演した一本で
それでもこの時のモンティは
顔こそ往年の輝きを失っていたものの
とても調子が良さそうに見え
自然体の演技を披露していました
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ゲーブルやモンローとも
息の合った相性のよさを感じさせています
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…が
本作の6年後に
彼も45歳という若さで
心臓発作によってこの世を去っています
長年の薬物やアルコール使用が
身体を蝕んでいたことは明白ですね
とまあ
そんなこんな
本作には
時代の転換期に生ずる違和感が
出演者たちのプライベートな背景とともに
透かして見え
リアルな空気をともなって
まこと克明に映し出されています
一見批判的な側面をもたらしてしまう
本作のこうした時代性は
当のヒューストン監督も
意図していなかったでしょうね
でもつくづく
出演者たちの因縁といいますか
運命の引き寄せを感じざるを得ませんね
というわけで
『荒馬と女』
いやあ
稀有な映画
時代を映し出した
これはとても貴重なフィルム
是非とも必見です
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