マン・レイ実験フィルム

アメリカの前衛芸術家
マン・レイ(1890-1976)
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彼は1921年にパリへ渡り
当時世界中から集まった
新進気鋭の芸術家たちによる
エコール・ド・パリの渦に身を投じます
そこで
ダダイズム、シュルレアリスムの系譜となる
独自の写真表現や絵画、彫刻などで
頭角をあらわします
そんなレイは
1920年代にフランスで
サイレントの短編映画を数本手がけていまして
今回ご紹介の作品がこれ
題して
『RETURN TO REASON/リターン・トゥ・リーズン』
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およそ100年前(!)の
1920年代に製作された
マン・レイの実験映像を
4Kレストア版に仕上げ
そこに音楽をつけて
2023年に完成させたのが本作です
音楽を担当したのが
映画監督のジム・ジャームッシュと
近年の彼の作品のプロデューサーである
カーター・ローガンによる
音楽ユニット「スクワール(Squrl)」です
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100年前の映像に
現代的な音楽がかぶさることで
画面に感情的な抑揚と臨場感が生まれ
息を吹き返したかのような生命力を帯び
作品のシュルレアリスティックな前衛性が
より際立つ効果をもたらしています
ということで
収録作品は短編4編
以下、順にご紹介
◎『ひとで』(Starfish) 1928年
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夢の中にいるようなボヤけた画面
道ゆく男と女
女を演じるのは
レイの当時の恋人だったキキ
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風に舞う新聞を追う様
手のひらや星空
脈絡のないショットの積み重ねながら
男女の関係性
おそらくは悲恋がほのかに伝わってきます
タイトルにもなったひとでは
何のメタファーなのでしょうか
本作は
詩人のロベール・デスノスが
シャンソン歌手のイヴォンヌ・ジョルジュへの
“叶うことのない愛”について詠んだ詩が
原案になっているそうです
デスノス自身が
ひとでの入った瓶を見つめ
「彼女は美しい」と語り
本編は終わります
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◎『エマク・バキア』(Emak-Bakia) 1926年
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レイ自身も顔を出しています
タイトルはバスク語で「ひとりにしてくれ」
また「平和を与える」という意味もあるそうです
「シネポエム」という
サブタイトルが付けられた本作は
レイの考案によるレイヨグラフ
=カメラを使わずに印画紙の上に直接物体を置き、光を当てて形を焼き付ける写真表現の手法
…のほか
二重露光、ソフトフォーカスなど
彼が写真撮影に用いた
多くの技法が使われています
まぶたに目を描いたキキが
目を開閉する映像で締めくくられます
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◎『理性への回帰』(Return to Reason) 1923年
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本作のメインタイトルに冠せられている
マン・レイのわずか3分ほどの短編第1作
フィルムに塩と胡椒を直に振りかけたりして
抽象的なイメージに溢れた実験映像です
一体全体
これのどこが
理性への回帰なのか?
さっぱり謎なのですが
規制の秩序や価値観、従来の芸術を否定する運動である
ダダイズムによる映像表現の
模索の反映と見てとれましょうか
光の縞模様に照らされ
異化作用を及ぼす
キキの裸体
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◎『サイコロ城の秘密』 (Mystery of the Chateau of the Dice) 1929年
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4作の中では最長の27分
摩訶不思議で起伏に富んだ一作です
すべての行動をサイコロを振って決める
偶然に頼る二人の旅行者
二人は丘の上にある美しい城に出かけ
城の内外を歩き回る
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映画の出演者は
なぜか皆
ストッキング(⁈)をかぶっていて
顔が見えず
にわかに匿名性を帯びます
まるでデ・キリコの絵画の人物たちを彷彿させますね
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「行為の亡霊は存在するか?
過去の行いの亡霊は?
私たちが生きた時間は
大気の中
そして地上に
明らかな痕跡を残したか?」
謎めいた言葉が続く…
ストッキングを被った4人の男女が
バスローブ姿でサイコロを振る
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その後
邸内のプールに飛び込み戯れる
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水飛沫が舞う様
揺れる水面が
壁に反射し
美しい光の動きが現出
逆再生映像
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倒立したり
ブリッジする人物(!)
また
こちらもユニークな
人物たちの身振りの妙
光と影が反転する
ソラリゼーション(白黒反転映像)
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やがて
マネキンの手から
二個のサイコロが転び落ちて
映画は終わります
う〜ん
謎だ
唐突だ…
この予測不能の
ミステリアスな展開
って
これら4編は
1923年から1929年という
およそ100年も前の映像ゆえ
古典中の古典であるはずが
いやいや
とんでもない
なんとまあ
自由で遊び心に富んでいるのでしょうか
アヴァンギャルドな精神に満ちた
驚嘆すべき
この実験映像の数々
16ミリフィルムのカメラという
新しいおもちゃを手にして
嬉々として喜んでいた
レイの顔が自ずと浮かびますね
つくづく
道ゆく男女
踊る女
走る列車
海の様子
ダンディーな紳士
移動する風景
人々の何気ない日常をとらえた映像
また
俯瞰した景色をとらえた
パンフォーカスもどこかぎこちなかったり
カメラの水平レベルもままならなかったり…
しかしその全てが
原初の発見に満ちているのです
いやあ
こういう実験映像って
個人的に大好きなんですよね
時折
音と映像がもたらす陶酔によって
夢うつつの狭間に没入し
不覚にも睡魔に襲われたりするのですが
それも一興ですね
ハハハ
でもまあ
あまりにマニアック過ぎて
オススメはできませんがね…
というわけで
マン・レイの実験フィルム4編
Amazonプライムで思わず観れて
とても感激でした










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