映画『ザ・ブルード/怒りのメタファー』
いやあ
こういうのが視聴できるなんて
Amazonプライム嬉しいですね
カルトな一作
1979年製作
カナダの鬼才
デヴィッド・クローネンバーグが
若き頃に放った
トラウマ必至のB級ホラー
『ザ・ブルード/怒りのメタファー』
↓↓↓
…
妻ノーラとの夫婦生活に亀裂が生じ
娘キャンディと2人で生活する夫フランク
幼少期に母親から受けた虐待が原因で
精神を病むノーラは
精神科医ラグランの診療施設で
治療にあたっている
怪訝に思うフランクをよそに
そこでラグランは
サイコプラズミック療法と称して
ノーラの怒りを実体化する実験を行なっていた
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価値観の相違から生じた夫に対する怒り
幼い頃に自分を虐待した母親に対する怒り
それを見て見ぬ振りをした父親に対する怒り
その反動としての娘キャンディに対する怒り
夫と親しく接している保育士に対する怒り…
そうした数々の怒りによって
ノーラの身体に生じた腫瘍から
やがて恐ろしい異形のブルード(=同腹児)が
次々と産まれ
彼らがノーラの負の感情に任せて
人々に襲いかかる
↓↓↓
う〜ん
なんとまあ
奇抜な発想といいますか
自由奔放といいますか
いやいや
なんの
B級的なデタラメさでしょうか
もう最高です
娘のキャンディが逃げまどうシーンが
まこと真に迫っていて
いいんですよね
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特筆すべきは
医療だか、科学だか、宗教だか
による怒りの産物
子供のような大きさに
老人の顔をした
奇怪なクリーチャー、ブルードの存在をはじめ
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多分に特異な造形によるキャラ設計と相まった
その徹底して
アブノーマルなトーンですよね
特には
クローネンバーグの初期の映画に見られる
独特の安っぽいグロセンス
とでもいいましょうか
気持ち悪い分
逆に病みつきになる要素も多々あって
ハハハ
僕なんか
まさにそうかも
あらためて
『スキャナーズ』(1981)
『ヴィデオドローム』(1983)
『デッドゾーン』(1983)
『ザ・フライ』(1986)
などなど
初期クローネンバーグの作品群に見る
その強烈なヴィジュアルセンスや
特異な世界観が
後世のクリエイターたちに与えた影響は
多大なものがあり
本作はまさに
そうしたクローネンバーグ・ワールドの
原型ともいえる作品といえましょうか
と
本作の製作当時
クローネンバーグは妻と娘の親権を巡り
泥沼の離婚調停を行なっていたそうで
本作には
そうしたクローネンバーグの心情
…妻に対する怒りや恨み、ある種の恐怖心が
ストレートに投影されていると言われています
それはそうと
妻のノーラが
表情といい
衝撃の腫瘍シーンといい
怖すぎですね…
↓↓↓
しっかし
つくづく
娘のキャンディや
このブルードたちもそうですが
親の不仲の代償を
子どもたちが払わされているような印象で
まあ
観ていて
後味の悪いったらないですね
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というわけで
クローネンバーグにとって
決定的にシリアスなテーマを内包した
まさに負の遺産
ともいうべき
B級ホラーの佳作です
いやあ
でも観れて感激でした
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