世紀のスキャンダル
ふと
昔の映画話を少々
イタリアの映画監督
ロベルト・ロッセリーニ(1906-1977)
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『無防備都市』(1945)や
『戦火のかなた』(1946)など
戦後の荒廃した街並みを舞台に
そこで生きる人々の
ありのままの現実を映し出した映画群
イタリアン・ネオレアリズモを主導したことで知られる
言わずと知れた
イタリア映画の父です
と
あまりにも有名な話ですが
この巨匠ロッセリーニの作品に感銘を受けた
『カサブランカ』(1942)
『ガス燈』(1944)など
当時
ハリウッドのトップに君臨していた大女優
イングリッド・バーグマン(1915-1982)が
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1949年にロッセリーニに宛てて
出演を希望する内容の手紙を送ったことに端を発し
やがてバーグマンはイタリアへと渡り
ロッセリーニの作品に計5本主演します
そしてその間に
バーグマンとロッセリーニは
ともに既婚者であったにもかかわらず
不倫関係となり
程なくしてバークマンは
夫と子供がいる身でありながら
ロッセリーニとの間に子を授かります
その後、双方各々が離婚成立の後
1950年に
二人は晴れて結婚するのですが
特にバーグマンは
アメリカ国内で非難の的となり
数年間
アメリカに戻ることができないほど
世間を騒がせることになります
う〜ん
1950年前後というと
アメリカでは
マッカーシズム(=反共産主義)の嵐が吹き荒れた
とても保守的な風潮の時代
ひと昔もふた昔も前の価値観を
想像してみるかぎりにおいても
いやはや
大女優バーグマンの
何ともリスキーで
大胆極まりない行動だなと思いますね
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ということですが
ロッセリーニ監督&バーグマン主演による
5本の作品の評価はといいますと
正直、あまり高くありません
ロッセリーニの映し出す
現実に材をとったリアルな風景と
バーグマンの輝くばかりの美貌が
ミスマッチであるというのが
大かたの意見ですが
う〜ん
果たしてどうなんでしょうか
個人的な感想でいいますと
僕は
いいと思います
たしかにバーグマンって
すごい美人で
画面上でも一瞬で目を惹く
強烈な磁力といいますか
優美で気品に溢れた空気感を
周囲に漂わせていて
たとえば
ハリウッドのスタジオ内での照明や演出に
ひときわ映えるわけで
それがロッセリーニの映画における
ロケーション撮影
ほぼドキュメンタリーに近い
現実の風景の中にあっては
実際
あまりに映えすぎちゃう
存在が突出してしまう
そんなきらいは否めません
…が
僕は
その違和感が
ある種の異化作用を生んで
むしろ面白いと思います
特に
『ストロンボリ』(1950)は強烈でした
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ゴツゴツした岩山のロケーション
ラストの
凄まじい火山の噴火と
そこに横たわって苦悩するバーグマンの美貌の
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このシチュエーションの妙
異質なムード
映像的な強度…
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もう圧巻の一語でしたね
というわけで
世紀のスキャンダルを巻き起こした
バーグマンとロッセリーニの
第2作目となる作品を
次回
ご紹介したいと思います
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