映画『トリコロール』三部作

1993年から1994年にかけて

フランス政府からの依頼で製作された

『トリコロール』三部作

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タイトルはそれぞれ

『青の愛』(1993)

『白の愛』(1994)

『赤の愛』(1994)

と、フランス国旗の3色にちなんで

名づけられていて

フランス革命の理念である

青=自由

白=平等

赤=博愛

をモチーフにして描かれています

監督は

『デカローグ』などで知られる

ポーランドの巨匠

クシシュトフ・キェシロフスキ(1941-1996)

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いやあ

今更ながら

キェシロフスキ大好きです

様々な愛のあり方

偶然や運命といった

宗教的な命題を

光と色彩に彩られた映像美で表現し

映画に

深い精神性をもたらした

まこと稀有な作家ですね

ということで

三部作をザザッとご紹介

◎ 『トリコロール/青の愛』(1993)

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テーマは”自由”

主演はジュリエット・ビノシュ

作曲家の夫と娘を交通事故で失い

家も財産も処分したジュリーは

パリで新たな生活をはじめる

生きがいも思い出も

何もかも失った彼女が辿る遍歴

喪失感から立ち直れず

哀しみの底に埋没する

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ふと

鳴り響く交響曲

夫が書いた未完の協奏曲のメロディーが

ジュリーの頭の中を駆け巡る…

そんな静かな日々を過ごすジュリーは

ある時

亡き夫に愛人がいたことを知る…

街中で聴こえるフルートの切ない音色

木漏れ日の森

切り取られた日常の断片

部屋の中の青いガラスの飾り

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孤独に浸る

夜の屋内プールの青い照明

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薄暗い闇に照らされた青白い光

青く光る譜面を指でなぞる…

ジュリーは

いつまでも脳裏から離れないでいた

夫の未完の協奏曲を

自身が代わりに完成させることで

夫と子を失った絶望を受け入れ乗り越えて

新たな人生を生きるに至るのです

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◎『トリコロール/白の愛』(1994)

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テーマは”平等”

主演はズビグニェフ・ザマホフスキとジュリー・デルピー

パリに住むポーランド人の美容師カロルは

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性的不能を理由にフランス人の妻ドミニクに離婚を言い渡され

程なくして一文なしとなるが

たまたま知り合った同郷の男の図らいで

ワルシャワへと戻る

そうして故郷の地で実業家として成功し

安定した生活を取り戻すも

どうしてもドミニクが忘れられず

彼女を呼び寄せるために一計を案じ

そして…

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パリからワルシャワへ

一面、雪に覆われた荒地

冷たい風が吹き荒ぶ故国ポーランド

真っ白い彫像

白いモヤのかかった草原

ワルシャワ郊外で氷面を滑る男たち

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そして妻ドミニクの

純白のウエディングドレス姿が眩しい

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本作は男性が主人公で

三部作の中では

ちょっと異色のコメディタッチの演出ながら

ワルシャワの寒々しい風景をバックに

愛のもとでの平等を

誠実に謳いあげています

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◎『トリコロール/赤の愛』(1994)

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テーマは”博愛”

主演はイレーヌ・ジャコブ

大学に通う傍らモデルとしても活動するヴァランティーヌは

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ある夜、車で犬をはねてしまう

首輪を頼りに訪ねた住所で

盗聴が趣味の孤独な元判事(トランティニャン)に出会う

心を閉ざす元判事は

彼女の優しさに触れ

やがてふたりは互いの孤独を感じ合い

心を開いていく

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風になびく赤い布地をバックに

写真撮影をするモデルのヴァランティーヌ

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赤い上着

赤い車

ショップの赤い幌

鮮烈な赤の断片が

観る者の脳裏に刻まれます

ヴァランティーヌの博愛的なスタンス

人間不信となっていた老判事が

彼女との交流を通して

次第に変化を遂げていきます

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本作の3本は

劇中

さりげない関連を持っていたのですが

クライマックスで

決定的なつながりを有して幕を閉じます

いやあ

偶然と運命を宿したユニークな結末です

というわけで

三作とも

なんとまあ

魅惑的で味わい深い

何より美しい世界観でしょうか

個人的には

『青の愛』が出色でしょうかね

まあ三作とも

女優が魅力的で

自ずと画面に引き込まれてしまいますが…

というわけで

『トリコロール』三部作

巨匠キェシロフスキが描く

崇高な愛の形

その深遠なる世界

あらためて必見です

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