映画『ウエスト・サイド物語』

1961年のアメリカ映画
『ウエスト・サイド物語』
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言わずと知れた
ミュージカルの古典です
監督は2人
演出のロバート・ワイズ(1914-2005):右と
振付のジェローム・ロビンズ(1918-1998):左
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本作は
1957年にブロードウェイで上演された
同名のミュージカルの映画化です
なにせ映画においても
音楽の力に負うところ大でして
やはり数々の名曲を作曲した
レナード・バースタインの功績が大きいですね
…
ニューヨークの下町ウエスト・サイドでは
ポーランド系不良グループのジェット団と
プエルトリコ系不良グループのシャーク団が
激しく対立していた
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ある日
シャーク団のリーダーを兄に持つマリアが
ダンスパーティーで知り合ったトニーと恋に落ちる
しかし彼は対立するジェット団の元リーダーだった…
とまあ
とにもかくにも
僕にとって
本作は
もうオープニングに
これ尽きますね
長い長い前奏
5分に及びましょうか
その間
音楽のメドレーが流れ
幾何学模様の点や線が映され
画面全体の色が赤、黄、青と次々変化
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やがてこの幾何学模様が
空撮で捉えたニューヨーク、マンハッタンに切り替わります
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口笛の音が響く中
カメラはマンハッタンの上空から
ニューヨークの街並みを
静かにゆっくりと映し出します
エンパイアステートビルやヤンキースタジアムも確認できますね
そうして簡素な街並みへと降りていき
カメラは
ウエスト・サイドにある
バスケットボールのコートへと辿り着きます
と
そこにたむろする若者たちの一団
指を鳴らしてリズムをとり…
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やがておもむろに外へと繰り出し
勢い勇んで街を闊歩する
その様を
生々しくも優雅なダンスで表現
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と
そこで
敵対する勢力のリーダーたちと遭遇
彼らもまた
静かな立ち上がりから
ステップを踏んで
駆け出していき
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そして
街中へと踊り出す
若者たちの
ほどばしる感情
みなぎるエネルギーを
ダイナミックな踊りで表現
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う〜ん
何度観てもゾクゾクします
シャーク団のリーダーを演じた
細身のチャキリスの切れ味鋭い身のこなし
今さらながら
映画史に残る名場面ですね
そうして
2つのグループが相まみれて
街中で乱闘騒ぎを起こす
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実際のリアルな市街地で繰り広げられる
演劇的なパフォーマンスの妙
若者たちの暴力的な行為を
力強く美しいダンスによる身振りで
象徴的に表現する
このユニークな演出
いやあ
なんて素晴らしいオープニングシーンでしょうか
ロビンズの躍動感溢れる振付が光りますね
つくづく
リアルな中にあっての
この違和感
しかし
不自然さの中にこそ
映画的表現の神髄があるんだなと
本作を観ていて実感しますね
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と
本作には
ブロードウェイの一流ダンサーたちが
こぞって出演しているだけあって
皆キレッキレのダンスを披露
そこにジョージ・チャキリスやリタ・モレノらが重要な役を務め
さらにスター俳優の
ナタリー・ウッドやリチャード・ベイマー、ラス・タンブリンらが加わり
そうして出来上がった
ダイナミックな歌と踊り
特には
一体感に溢れた鮮烈な群舞
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何より
画面から伝わる
熱気
迫力
パッション
エネルギー
にじみ出る艶
いやあ
何年経っても色褪せませんね
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さらには
踊りのような決闘シーンの
様式的な立ち居振る舞い
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劇中
セリフから歌へと移行する際の
リズムや節が始まる際の
徐々にボルテージが上がっていく感じが
う〜ん
たまらないんですよね
つまりは
感情的な高揚感
ミュージカルの醍醐味は
これに尽きるように思います
もちろん
音楽のダイナミズムや楽しさも
魅力に違いありませんが
それらの元となる
何より
感情のうごめきによって
画面の空気感が一変し
抑制された状態から
やがて歌と踊りによって
それが一気に放出される様
爆発力
開放感
没入感…
このメリハリの効いた
オンオフの切り替えがいいんですよね
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ところで近年
スピルバーグが再映画化して話題となりましたが
本作で描かれる
アメリカ国内における移民の問題や
人種間の軋轢などは
今もなお深刻で切実なテーマですね
本作は
シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の翻案でして
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ラストに
哀しくも虚しい幕切れが待っています
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と
本作が撮影された60年代前半は
60年代後半から始まるアメリカン・ニューシネマの
“ドキュメンタリー的なリアル”と
一線を画する
“手法としてのリアリズム”
を主とし
いわば生々しい感情表現に満ちた
濃密なムードを特徴とするスタイル
そうした背景にあって
本作は
圧巻の歌と踊りのパフォーマンスで
往年のミュージカルの熱と
60年代のリアリズムを融合させた
無二の世界観を創出しています
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というわけで
『ウエスト・サイド物語』
いやあ
何度観ても
ついつい興奮しちゃう僕がいますね
とにかく
もう最高の映画
あらためて
映画史に燦然と輝く傑作です
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