映画『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』

1976年のアメリカ映画

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』

↓↓↓

IMG_2722.jpeg

監督・脚本は

ジョン・カサヴェテス(1929-1989)

↓↓↓

IMG_2719.jpeg

今更ながら

“アメリカ・インディペンデント映画の父”

として名高い

伝説の鬼才です

本作は

カサヴェテスが

盟友ベン・ギャザラを主演にして撮った

異色のクライムサスペンスです

↓↓↓

IMG_2708.jpeg

場末のストリップクラブを経営するコズモは

店の借金を完済した矢先に

ポーカー賭博でボロ負けし

マフィアに莫大な借金を作ってしまう

↓↓↓

IMG_2700.jpeg

返済の見込みがないコズモに

マフィアは借金帳消しの条件として

ある仕事を持ちかける

↓↓↓

IMG_2717.jpeg

それはひとりの中国人ブッキー(=ノミ屋)を

暗殺せよとのこと

実はその中国人はノミ屋ではなく

一大勢力を誇る組織のボスだった…

断るわけにもいかないコズモは

粛々と実行に移し

中国人マフィアのボス宅に侵入し彼を射殺

↓↓↓

IMG_2724.jpeg

そして再び

経営するクラブに姿を現す

70年代ロスの繁華街に見る

いかがわしくも雑然としたムードの中

マフィアにはめられ

窮地に追い込まれた男を描いた本作は

ノワールなプロットを借りながらも

↓↓↓

IMG_2721.jpeg

しかしその実

描かれるのは

ストリップクラブに宿る

溢れる情感

卑猥で低俗にして晴れやかな舞台と

そこに生きる出演者たちの生の姿です

↓↓↓

IMG_2694.jpeg

って

中国人の殺しを依頼されて

それを遂行しようが

逃げ帰る途中

腹に一発銃弾をもらい

手当が必要な状態だろうが

何せ

この男

自身の経営するクラブのことが

気がかりでしょうがない

厄介事の最中にも

電話をかけて

店のショーの演出や集客状況などを確認する

↓↓↓

IMG_2713.jpeg

この日常と非日常の

スリリングなせめぎ合い

いやあ

こういうのを

ハードボイルドと言うんでしょうね

思い入れたっぷりに映し出される

クラブの日常風景

↓↓↓

IMG_2732.jpeg

映画は

コズモを取り巻く

店の女の子たちの様子などに

あくまで主眼が置かれ

時折なんとも

冗長で緩慢な空気が流れたりします

↓↓↓

IMG_2691.jpeg

…が

しかし

自然光による手持ちカメラで

対象に肉薄したその画面からは

コズモの抱える苦悩

孤独な内面

刹那的な日常を生きる

男のダンディズムが垣間見え

↓↓↓

IMG_2718.jpeg

何より

場末のナイトクラブのオーナーとしての

誇りやプライド

ロマンティシズムがみなぎり

↓↓↓

IMG_2693.jpeg

そうした

諸々をひっくるめたところの

いわば光と影が

リアルに刻まれているのです

↓↓↓

IMG_2714.jpeg

主演のベン・ギャザラが

いろんなものを背負いながらも

“やせ我慢の美学”

に生きる貫禄のオーナーを好演

クラブの出演者たちに見せる

終始穏やかな笑顔と

慈愛に満ちた眼差しが印象的です

↓↓↓

IMG_2733.jpeg

ふと

コズモの姿に

どこか

気心の知れた仲間たちを大事にし

彼らと自由で濃密な時間を共にし

妥協のない映画製作に没頭し続けた

カサヴェテス本人の姿を

オーバーラップして見ることができて

まこと興味深いですね

↓↓↓

IMG_2709.jpeg

カサヴェテス映画の常連

シーモア・カッセルが

相変わらず存在感を示していて

いいですね

↓↓↓

IMG_2711.jpeg

というわけで

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』

いやあ

見応え十分

カサヴェテスの深い愛情と思い入れが

フィルムに明確に刻印された

異色のフィルム・ノワール

あらためて

必見です

↓↓↓

IMG_2696.jpeg

おまけ

カサヴェテスの『フェイシズ』について

以前書いた記事です→こちら

関連記事

  1. この記事へのコメントはありません。