谷川俊太郎『これが私の優しさです』

現代日本を代表する詩人

谷川俊太郎 (1931-2024)

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集英社文庫による

1993年刊の彼の詩集

『これが私の優しさです』

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本詩集のうち

表題作を以下、転載

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「これが私の優しさです」

窓の外の若葉について考えていいですか
そのむこうの青空について考えても?
永遠と虚無について考えていいですか 
あなたが死にかけているときに

あなたが死にかけているときに
あなたについて考えないでいいですか
あなたから遠く遠くはなれて
生きている恋人のことを考えても

それがあなたを考えることにつながる
とそう信じてもいいですか 
それほど強くなっていいですか
あなたのおかげで

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う〜ん

あらためて

「優しさ」とは一体何でしょうか

本詩においては

「死にかけているあなた」

に対して

「あなたについて考えないでいいですか」

と問うています

さらに

「あなたから遠く遠くはなれて」

とまあ

文面だけを見ると

優しさからかけ離れているように見えます

つくづく

谷川が本詩で伝えたかったこと

それは

“相手を思いやり”

“相手に寄り添う”

ということだけが

優しさではないということ

むしろ

本詩では

“相手を考えない”

ということが

優しさにつながるという

逆説的な意味です

よくよく

“死にかけている人”

これは

たとえば

親や師、配偶者、恋人、友人などが

想起されますが

誰かを愛する

優しさを発揮する

となると

“あなたのために生きる”

“あなたのことをいつも考える”

“あなたから離れない”

ことが愛情と思いがちで

それが強くなりすぎると

“相手と自分との境界がなくなる”

“相手の苦しみを自分の苦しみにしてしまう”

さらには

“相手の人生を自分の人生にしてしまう”

いわば

優しさ=自己同一化

という

ある種の依存関係に陥ってしまう

谷川が

本詩を通して伝えたいことは

優しさ→距離→自立→強さ→再び愛

という流れで

つまり

愛しているからこそ

その人から離れて自分の人生を生きる

その強さこそが

私にとっての優しさである

という詩だと捉えることができましょうか

そして最後に

「あなたのおかげで」

と言うことで

これが深い愛情に基づいた考え方である

と理解することができます

いやあ

深い洞察と見識に満ちた

素晴らしい詩ですね

というわけで

まこと目を見開かされた次第です

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