映画『オッペンハイマー』

ただいま絶賛上映中

2023年製作のアメリカ映画

『オッペンハイマー』

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監督・脚本は

現代最高のフィルムメーカーとして

その名を世界に轟かす

クリストファー・ノーラン(1970-)

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本作は

「原爆の父」として知られる理論物理学者

ロバート・オッペンハイマー(1904-1967)の

生涯を描いた伝記映画です

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僕は本作を

IMAXで観たのですが

内心

最高の映像と音で

原爆を体感すること

…を

心のどこかで

期待していたのが

正直な本音です

その恐るべき破壊力

残酷な被害の様

…を

目にし耳にすること

って

しかし

本作は

僕のこの

不謹慎極まりない期待を

見事に裏切る硬派な内容で

まあ

稀に見る人間ドラマの力作でしたね

理論物理学の分野で功績を上げたオッペンハイマーは

第二次世界大戦中

アメリカの核開発プロジェクト「マンハッタン計画」を推進すべく

ロスアラモス国立研究所の初代所長に任命され

原子爆弾の開発を主導

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原爆の実験が成功し

さらにはそれが敵国日本で実用され

恐るべき被害をもたらしたことで

彼は戦争を終結させた英雄として

一躍その名を知られる存在となる

しかし更なる威力を持った

水素爆弾の開発に異を唱えた彼は

戦後

アメリカ国内で赤狩り旋風が吹き荒れる最中

仕組まれた聴聞会において

共産主義者としてスパイ容疑をかけられ

そうして公職から追放されてしまう

本作では

日本に投下された原爆による

被害の惨状が映し出されません

そのことを指摘する声が多いようですが

僕が本作を観て感じたことは

つくづく

この映画は

アメリカの国策映画でもなければ

社会派反戦映画でもないということ

監督のノーランは

原爆の開発、実用

というデリケートな題材が

自ずともたらす政治的側面

求められる人道的見地

そうした信条的な見方を

意図的に排し

時に抽象的ですらある表現を用いて

オッペンハイマーの内的世界へと

肉薄していきます

とりわけ

彼の人間的な側面

絶えず苦悩し矛盾を抱えた

複雑な内面を

できるだけフラットな視点で

捉えることに腐心しているようです

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とはいえ

本作において

原爆の脅威は

オッペンハイマーの心象を投影した

イメージの映像や

時折鳴り響く轟音で

随所に描写され

特に本作最大の見せ場となる

トリニティ実験のシーンは

それはもう凄まじい迫力でした

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ピカッと強烈な光を放ったあと

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ノンモン(無音)がしばらく続き

その後

恐ろしい爆音が鳴り響きます…

あらためて

IMAXによる圧倒的な映画体験です

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しかし

本作の見どころといいますか

重きを置いているポイントは

戦前から戦後にかけて

怒涛のように過ぎていった

オッペンハイマーの

栄光と失墜の半生です

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そもそも

半生に及ぶ話が盛りだくさんなので

早いカット割による

畳みかけるような展開の連続で

観ているこっちは

息つく暇もありません

聴聞会における

オッペンハイマーに対する追及と

身の潔白を巡る応酬

迫真の実録ドキュメントを観ているような

リアルで緊迫感に満ちたシーン

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全編を通して

浮かび上がってくる

オッペンハイマーの複雑な内面

ノーラン自身

オッペンハイマーについて

「倫理的ジレンマと矛盾に満ちた人物」

と語っているように

原爆という未知の兵器を

開発したことに対する

科学者としての矜持と

その破壊力のあまりの大きさに

不安と疑念を抱かずにはいられない

ひとりの人間としての苦悩

これらに引き裂かれ

終始さいなまれる姿を

主演のキリアン・マーフィーが

圧巻の演技で見せてくれます

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また

オッペンハイマーをおとしめるストローズ役で

ロバート・ダウニーJr.が

ひときわ存在感を示しているほか

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よくよく本作には

錚々たるキャストが出演しています

アインシュタインと

印象的なやりとりを交わすシーン

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ふぅ

なんとまあ

濃密な3時間でしょうか

でも実際のところは

IMAXの中へと没入し

上映時間の3時間が

あっという間に過ぎていきます

つくづく

ノーランの他の作品もそうですが

本作は映画館

とりわけIMAXで鑑賞することを

是非ともオススメします

あまりの迫力に打ちのめされること必至

特には音響が凄まじいの一語

身体の芯まで響きます

もう圧倒的な映画体験です

というわけで

『オッペンハイマー』

いやあ

鬼才クリストファー・ノーランが放った

壮大なる人間ドラマの傑作です

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