ボリス・ヴィアン『日々の泡』

1947年に出版された小説です

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同じ小説ですが

こっちのタイトルの方が知られていますかね

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作者は

フランスの異才

ボリス・ヴィアン(1920-1959)

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作家、詩人、脚本家、俳優、画家、歌手、トランペッターなど

マルチな才能を遺憾なく発揮するも

わずか39歳の若さでこの世を去った

異能の人です

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パリ郊外の裕福な家に生まれたヴィアンは

生来、心臓が弱く不整脈に苦しみ

ゆえに幼くして短命を予感していたそうで

自ら「40まで生きないだろう」と

公言していた通り

39歳で急逝

自身の原作の映画

『墓に唾をかけろ』の試写会での上映中

心臓発作に見舞われての最期でした

う~ん

なんともドラマチックで

まあ生き急いだ人生だったんですね

つくづく

上述のように

様々なジャンルを横断した経歴と

重ね合わせてみると

いつまで生きられるかわからない

不安や葛藤を抱えながら

日々悔いのないよう

生を燃やそうとした

そんな心情を推し量ることができましょう

しかし

ここがヴィアンの

一筋縄ではいかないところですが

彼はそんな胸中を容易に明かさず

といいますか

いわゆるセンチな風情を嫌い

己の運命を嘲り

人生をシニカルに捉える

どこか斜に構えた男でした

そんなヴィアンを貫くイメージのひとつ

彼の本質を端的に示すキーワードが

自らの歌詞

『僕はスノッブ』にある通り

スノビズムではないでしょうか

そもそも

スノッブ

スノビズムとは

以下

ウィキペディアより引用

スノッブ(snob)とは、一般に俗物、またスノビズム(snobbism)は俗物根性と訳される。

多くの場合「知識・教養をひけらかす見栄張りの気取り屋」「上位の者に取り入り、下の者を見下す嫌味な人物」「紳士気取りの俗物」といった意味で使われる。

う~ん

にわかの薄っぺらな知識と見栄で

その場しのぎの快楽に興じ

生を浪費する

というような

まああまりいい意味では

使われない言葉のようですね

しかしヴィアンは

ナイーヴでシャイな性分からか

自虐的な意味も込めて

あえて自らをスノッブと呼び

死ぬまでスノビズムな生き方を全うします

享楽に身を委ね

限りある生を

貪欲に

それでいてある種

刹那的なまでに謳歌したのです

彼は1940年代

パリの文化人たちの一大中心地であった

サンジェルマン・デ・プレ界隈において

プリンスと称され

連夜ナイトクラブに通いつめ

時に持病の不整脈をかえりみず

トランペットを吹きました

写真は

サルトルやボーヴォワールと語り合うヴィアン

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ふと

時代性もあるんでしょうが

真の快楽、遊びは

たぶんに知的で文化的なんだなぁ

と今更ながら思い知らされます

また

彼のこうした

心情や生き方、スタイルの背景には

自身が偏愛してやまなかったジャズが

たぶんに影響しているように思われます

ヴィアンは

アメリカのジャズ・アーティスト

デューク・エリントンやマイルス・デイヴィスたちと親交を深め

パリに来た彼らと

当時のフランスの

アーティストや文化人たちを

結びつける役割も担い

たとえば

そうして結実した映画に

手持ちカメラでロケ撮影した映像に

マイルスの即興演奏をかぶせた

ルイ・マル監督の傑作

『死刑台のエレベーター』(1958)

があったりします

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おっと

話がだいぶ逸れちゃいましたが

冒頭の小説『日々の泡』は

そんな才人ヴィアンの

繊細な心情と自由奔放な生き様が

シュールで摩訶不思議な物語

イマジネーション溢れる文体

豊かな世界観を通して

見事に表現された傑作です

物語は

三組の恋人たち

中でも裕福な青年コランと恋人クロエとの

はかない悲恋を軸に描かれていますが

何せ細部の描写が面白いんです

カクテルピアノや水道管を通ってやってきたうなぎ、人間の身体によってできる銃器、心臓鋏、ハツカネズミと猫

などなど…

(なんのことかわからないでしょうが…)

全編そうした

奇妙でユーモアに満ちた世界に彩られながら

物語は

愛するクロエが

肺の中に睡蓮が生長するという

奇病にかかり

苦しみ始めるあたりから

トーンが変容し

次第に残酷な色を帯びてきます

クロエの病を食い止める方法は

いつも部屋中を花でいっぱいに満たすこと

そうしてコランは可能なかぎり

花を買い続けます

だがやがて財産が底をつき

それでもコランは働きながら花を買い続け

恋人を失った青年が抱く喪失感、虚無

う~ん

詩的で美しく幻想的

それでいて

哀しく切ないラブストーリーです

この小説が

1947年に書かれたという事実に

まずもって驚かされ

あらためて

若きヴィアンの自由な感性

その類まれなセンスに脱帽です

つくづく

こういう人を

真の文化人、教養人と呼ぶんでしょうね

というわけで

いやあ

すっかり長くなっちゃいましたが

以上

ボリス・ヴィアンの話でした

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  1. ★ヨウコ子です★新着記事でヒットして舞い込みました!いいブログですね。ワタシ好みで気に入りました。お邪魔さまでした✴主婦の気まぐれなブログもご覧いただけると幸いです。

  2. チョー!

    >洋子☆主婦の貧乏脱出物語☆さん
    コメントありがとうございます。
    こちらこそ是非のぞかせていただきます^ ^。