映画『フルメタル・ジャケット』

1987年製作

アメリカ・イギリス合作の

『フルメタル・ジャケット』

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監督・脚本は

ご存じ

映画史にその名を刻む鬼才

スタンリー・キューブリック(1928-1999)

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グスタフ・ハスフォードの自伝的小説の映画化で

キューブリックが

満を持して放った力作です

ベトナム戦争に従軍するべく

兵士に志願したアメリカの若者たち

彼らを待ち受ける

海兵隊新兵訓練所での過酷な日々

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そして戦地へと駆り出された

アメリカ海兵隊の新兵たちが見た地獄の光景

テト(=旧正月)攻勢中に

ベトナムのダナンとフエで行われた戦闘の一断面

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映画は

ひとりの海兵隊員(ジョーカー)を軸に

新兵たちが体験した

ベトナム戦争の悪夢を

冷徹なタッチで描写していきます

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アメリカ側から見た

ベトナムそのものに宿る

得体の知れない怖さ

アジアの小国の異国情緒が

いみじくも反転する

ある種の不気味さ

そうした異質なムードが

リアルで乾いた映像の中に

おもむろに表出します

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軍事訓練の異様

にわかに喪失する人間性

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訓練生たちに

あらん限りの卑猥な言葉

罵詈雑言を浴びせる

この教官は一体…

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訓練所全体に渦巻く狂気

何かが起きそうな

不穏な気配

自ずと予見される不吉な結末

そうして訓練キャンプの卒業式の夜

事態が変容

精神に異常をきたしたレナードが

軍曹ハートマンを射殺し

自らもライフルの銃口をくわえて発砲

現場は狂気の修羅場と化す

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う〜ん

はじめて観た時は

前半部における

この衝撃の展開に

とにかく

まあ

ぶったまげましたね…

訓練生レナードの

完全にイッちゃった目に

底冷えする恐怖を覚えながら

やがて訪れる惨劇を

固唾を飲んで見守る僕がいましたね

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蔓延する負の空気感

漂う虚無…

この悲劇を目の当たりにした

ジョーカーをはじめとする新兵たちは

しかしその後の

苛烈を極めた戦闘で

更なるカオスに呑み込まれることになります

ふと

ベトナム戦争の舞台といえば

鬱蒼としたジャングルを想起させますが

本作では

市街戦が主戦場となります

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この

無機質な建物に囲まれた

市街戦の恐怖

見えない敵からの狙撃に晒される

アメリカ軍兵士たち

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緊迫感と閉塞感に覆われた戦地での模様

生死の境をさまよい

息を引き取る仲間の兵士

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そうした中で

ビル内への侵入に成功した

アメリカ軍だったが

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ビルにいた

ベトナム側の狙撃手は

たったひとり

それも幼い少女だった…

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ジョーカーは少女を撃ち殺し

兵士たちは外へと引き上げ

そして戦闘は続いていく…

露呈する非人間性

つくづく

アメリカがベトナム戦争で

実質的に敗北した要因が

透けて見えるようです

というわけで

『フルメタル・ジャケット』

前後半に分かれたパートを通して

ベトナム戦争の本質を描き切った

鬼才キューブリックの問題作

いやあ

今更ながら

必見です

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おまけ

キューブリックの作品について

以前書いた記事です

◎『恐怖と欲望』→こちら

◎『突撃』→こちら

◎『博士の異常な愛情』→こちら

◎『2001年宇宙の旅』→こちら

◎『時計じかけのオレンジ』→こちら

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