映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』

まだどこかで上映中でしょうか
2025年のアメリカ映画
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
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監督・製作・脚本は
ポール・トーマス・アンダーソン(PTA、1970-)
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一作ごとに問題作を発表し続ける鬼才が
トマス・ピンチョンの小説
『ヴァインランド』から
インスピレーションを得て
レオナルド・ディカプリオ主演で
新境地を開拓した
エンタメ要素の強い怪作です
…
架空のアメリカ
革命組織「フレンチ75」の一員として
難民解放、銀行襲撃など
反権力闘争を繰り広げていた
ペルフィディアと
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パット
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2人は愛し合い
子どもを授かるが
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ペルフィディアは家庭を顧みず
革命の道へと身を投じる
しかし「フレンチ75」を執拗に追う
変態軍人ロックジョーによって
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程なくして彼女は逮捕され
政府側に組織を売ることで釈放
ひとりメキシコへと逃亡する
そんなペルフィディアの裏切りによって
フレンチ75は壊滅
メンバーは身を隠して生きる他ない
ペルフィディアに去られ
取り残されたパットはボブと名を変え
ひとり娘のウィラを育てながら
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酒と薬に溺れる自堕落な生活を送っていた
そうして
16年が経過したある日
突然、異常事態を告げる電話が鳴り
平穏な日常が急変
何者かにウィラをさらわれたことから
事態はにわかに
追いつ追われつの逃走劇へと発展していく…
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本作のタイトルの意味は
“戦闘に次ぐ戦闘”
次々と拡散していく展開
う〜ん
観ていて
だんだんと訳わからなくなってきます
反政府組織「フレンチ75」の生き残りのメンバーたち
政府から派遣されたロックジョー率いる軍の精鋭たち
さらには
ロックジョーが入会を希望する
白人至上主義の秘密結社”クリスマスの冒険者”からの刺客
って
この”クリスマス…”の入会条件が混血を認めないというもので
白人のロックジョーは
16年前に黒人のペルフィディアと関係を持ち
その後に生まれた子どものウィラが
もしや自分の娘ではないかという疑念を抱き続け
その事実を確かめたくウィラを追っていた
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しかし「クリスマス…」は
ロックジョーを最初から疑いの目で見ていて
刺客スミスが送り込まれる…
また
“センセイ”と呼ばれ空手道場を運営しながら
移民保護活動をする謎の男の存在
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ウィラを始末する任務を帯びた
先住民の賞金稼ぎアヴァンティQの突然の変心
などなど
三つ巴どころか
どんどんと芋づる式に
登場人物が増えて入り乱れていき
ふぅ
なんだかようわからん
PTA監督は
本作でもやはり
どこかセリフも少なく
状況描写と人物たちの動きのみで
ストーリーを語る節があり
なんとも突拍子のない意外性に富み
話があらぬ方向へと展開し拡散していきながら
そうして
やがて物語が収束していきます
この流れが
もう見事で
ついつい引き込まれてしまいますね
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って
終盤のカーチェイスは圧巻で
さながらマッドマックスの趣き
長い長い坂道を
淡々と静かに走り抜いていく中で
サスペンスとアクションが炸裂します
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つくづく
映画は
先行きの不透明な
混沌とした現代社会の
いわば縮図を見るような
多様な世界観を創出
世の中は
アジア、アフリカ、中東などの
第三世界の台頭によって
以前の東と西のような
単純な二項対立ではなく
ましてや
資本主義一択でもなく
錯綜する価値観
複雑に絡み合った利害をもって
世界が形成されている
そうした現代社会のいまを
リアルに映し出すべく
映画は
単純な構図ではなく
白人や黒人、ヒスパニック系などが絡み合い
敵味方が激しく入り乱れた
混沌の様相を
疾走感とともに露呈させます
いやあ
でもなんだかんだ
親子の愛情ですかね
最後はホロッときちゃいました
とまあ
よくよく本作は
出演陣がみんな素晴らしいですね
何より
ディカプリオのダメパパぶりが
とにかく目につき
まあカッコ悪いし見苦しいし
でも終始必死な形相のディカプリオが
もう最高でしたね
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また前半部で
強烈なインパクトを残した
先鋭的な黒人の女闘士ペルフィディア役の
テヤナ・テイラーが出色でしたね
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そして変態野郎ロックジョーを演じた
ショーン・ペンが
もう圧倒的な怪演でしたね
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他に
聡明な娘ウィラ役の
チェイス・インフィニティ
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ヒスパニック系の謎の先生を演じた
ベニチオ・デル・トロ
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とまあ
そんなこんな
物語の拡散収束を可能たらしめた
PTAのたしかなビジョン
卓越した演出に驚嘆する他ありませんね
というわけで
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
類稀なスケールに富んだ
いやあ
これまぎれもない傑作
是非とも必見です
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おまけ
ポール・トーマス・アンダーソンの作品について
以前書いた記事です
◎『ザ・マスター』→こちら
◎『ゼア・ウィルビー・ブラッド』→こちら










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