映画『甘い生活』

1960年製作のイタリア映画
『甘い生活』
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監督はご存じ
イタリアが世界に誇る
“映像の魔術師”
フェデリコ・フェリーニ(1920-1993)
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いやあ
今更ですよね
あまりにも有名な本作は
1950年代後半のローマを舞台に
上流社会の生態と退廃ぶりを
壮大なスケールで描ききった
言わずと知れた
フェリーニ中期の傑作です
と
僕の『甘い生活』鑑賞にまつわる
昔話について
以前書いた記事をご参照→こちら
…
作家志望の夢破れて
今はゴシップ記者として
無為に過ごしているマルチェロは
ナイトクラブで出会った富豪の娘と
一夜を明かし
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取材したハリウッドのグラマー女優と
狂宴を繰り広げる
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同棲中のエンマは
彼の荒んだ生活ぶりに失望している
そんなある日
心の支えとしていた友人が
突然、無理心中してしまう
生きる意味を見失い
失意の底に沈むマルチェロは
更なる狂騒の渦へと身を投じていく…
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本作は
プロローグの
ローマ上空を飛ぶ
ヘリに吊るされたキリスト像のシーンと
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エピローグの
海に打ち上げられた怪魚のシーンを挟んで
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7つの完結したエピソードが
紡がれていく構成となっています
それらは特段、起承転結もなく
互いに関わりを持つシークエンスとなったり
あるいは単体で独立したり
複合的な構造を持っていたりします
まるで
一大パノラマ図のように
ほぼ説明を排した一連の出来事が
総花的、散文的に淡々と羅列され
観ている側は
つい真意を求めてしまいがちな
そんなある種
象徴的なカットやシーンが
全編に散りばめられています
そうして観終わって
映画全体を俯瞰した時
“宗教”すら商品と化してしまった
大衆消費社会がはらむ欲望と
それによってもたらされる絶望
そしてそこに生きる現代人の精神の退廃が
如実に炙り出されてくるのです
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50年代イタリアの狂乱と喧騒…
華美、贅沢、享楽の影に
にわかに浮かび上がる
虚無…
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本作で
夜な夜な
乱痴気騒ぎに興じる登場人物たちや
度々付随するように登場する
パパラッチの一群は
デカダンス
というよりむしろ
道化ですね
ちなみに本作に登場する
カメラマンのパパラッツォが
有名人を追いかける写真家を指す
「パパラッチ」の語源になったのは
有名な話ですね
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と
野外で
トレビの泉で
夜通し戯れる
女優シルヴィアに
俗の極みを覚えつつ
しかし
そのあまりに
優美で
純真無垢な様から
彼女に
一瞬
かすかな
“聖性”を垣間見ます
このパラドックス(=逆説)の妙…
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よくよく
本作の革新性は
まさにこの点にあります
つまるところ
狂騒の渦中にいるマルチェロを
内心、羨ましく思う僕がいるのです(!)
富豪の美女やハリウッド女優と浮名を流し
夜な夜な享楽の限りを尽くすなんて
正直、楽しいじゃありませんか
演じるマストロヤンニも
何せまあ
かっこいいのなんの…
って
これはもちろん映画なわけですから
美男美女の役者たちが演じるわけですし
現実はそう美しいわけではない
というのを踏まえた上で
なお
観ている側は
映し出される映像に
魅惑と羨望の念をこそ覚えるのであって
本作で描かれた世界を
嫌悪し忌避すべきなどと到底思えないのは
これ自明の理
つまりは
否定的に描いているようで
その実
憧れの”甘い生活”を描くという
フェリーニの逆説的な真意を
本作の端々で
如実に見出すことができるのかなと
個人的に実感するところです
おっと
話が難しい方向にいってしまいましたが…
まあ
何はさておき
映画は
濃厚な媚薬に絡めとられ
魅惑に満ちた資本主義の沼に埋没し
そこから這い出ることができない
マルチェロを象徴とする現代人の
苦悩ならぬ
退廃ぶりを
圧倒的な強度で映し出します
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そしてラスト
海辺の別荘で
仲間と淫らに遊び耽った後
夜明けに浜辺へ出たマルチェロたちの前に
巨大な怪魚の死骸が打ち上がる
そんなとき
ふと
遠くで少女に声をかけられる
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しかし彼女の声は
波音にかき消され
マルチェロの耳には届かない
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やがて彼は少女に背を向け
仲間たちの方へ去っていく
少女は久々の再会で声をかけたのでしょう
でも何を語っているのかは
よくわからない
彼女の声は
マルチェロには
ついぞ届かない…
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怪魚と少女…
まるで堕落したマルチェロに
天使が呼びかけているかのようです
そうして
マルチェロに声は届かないながらも
無垢なる少女の存在に
ある種の希望を残して
映画は幕を閉じます
ふぅ
なんという
豊穣な映像表現でしょうか
フェリーニの底知れぬ創作のエネルギーと
画面を横溢するこの圧倒的な熱量
もう
ただ酔いしれるばかりですね
またあらためて
ニーノ・ロータの音楽があって初めて
本作は完成し得るといっても
過言ではないでしょう
この映像と音楽の完璧なハーモニー
もう最高です
そして出演者たちが圧巻です
本作で一躍
トップスターの仲間入りを果たした
マルチェロ・マストロヤンニ
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映画史を彩る名シーンを残した
アニタ・エグバーグ
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上流階級の女を演じた
アヌーク・エーメ
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とまあ
そんなこんな
いやあ
いつ観ても
何度観ても
最高ですね
というわけで
フェリーニ渾身の力作
『甘い生活』
あらためて
映画史にその名を刻む傑作です
その気宇壮大なる映像世界を
是非ともご堪能あれ
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お
こちらは
フェリーニとマストロヤンニのスナップ
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おまけ
僕のお気に入り
フェリーニの作品や人となりについて
以前書いた記事です
◎『8 1/2』→こちら
◎フェリーニと名画座→こちら
◎『青春群像』→こちら
◎『アマルコルド』→こちら
◎『サテリコン』→こちら
◎『魂のジュリエッタ』→こちら
◎フェリーニの魔術→こちら
◎フェリーニの創作スケッチ→こちら










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