映画『チャイナタウン』

先日TVで放映されていて久々に観ました

1974年製作

ロマン・ポランスキー監督の

『チャイナタウン』

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大好きな映画です

1937年のロサンゼルス

かつて警官だったジェイク・ギデスは

現在、私立探偵として身を立てている

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ある日、町の名士として知られるモウレ-夫人から

ダム建設技師である夫の浮気調査を依頼される

だが途中もう一人の、本物のモウレ-夫人が現れたあたりから

不穏な空気が立ち込み始め

それから程なくして夫のモウレ-が溺死体で発見

ジェイクもまた男たちから暴行を受けるハメに

ダム建設の背後に政治的な陰謀が隠されていると睨んだ彼は

持ち前の鋭い嗅覚と行動力で、事件の核心へと迫っていくのだが

映画はクラシカルな衣装や調度品、美術、時代背景など

30年代ロスの古き良き時代を偲ばせる

ノスタルジックなムードを

全編に漂わせながら

終始抑制されたトーンで淡々と進行していきます

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主演のジェイク役にジャック・ニコルソン 

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三つ揃いのスーツにビシッと身を固めるも

途中、用心棒に鼻を切られ

終始痛々しい包帯姿で

この雲をつかむような謎だらけの調査に奔走する探偵稼業の忙しなさを

まことリアルに演じ切ります

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問題のナイフで鼻の先を切られるシーンでは

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犯行に及ぶ用心棒役を

ポランスキー監督自身が嬉々として演じています

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あらためて

打算的で抜け目のない

しかし人間臭い探偵像を体現するニコルソンが魅力的です

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また脇を固める俳優陣も素晴らしい

謎の女イブリン・モウレーを演じるフェイ・ダナウェイの

底の知れない硬質な美しさ

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事件の重要な鍵を握るイブリンの父を演じるのは

映画監督ジョン・ヒューストン

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ヒューストン監督を起用するあたり

彼の代表作である探偵映画の古典『マルタの鷹』への

明らかなオマージュと見ていいでしょう

登場人物の多さ

複雑なストーリー展開

張り巡らされた伏線と巧妙なプロット

溢れる情報量と深まる一方の謎

その渦に巻き込まれながらも

少しずつ散らかったパズルのピースが埋まっていく

やがて明らかになる真相

隠された女の哀しき宿命

そしてジェイクはそこに自分自身の闇

決して拭い去ることができない己の過去を投影します

あらためて

タイトルとなったチャイナタウン

主人公の忘れられない記憶

いわば

心のひだの象徴

そこにハードボイルドな風情を見ると共に

それは

数奇な運命を辿ったポーランド出身のポランスキー自身が抱いた

アメリカの中の異邦人的な空間

周縁のイメージなのかもしれません

ラスト

女を待ち受ける

切なく無情な末路

そして闇に葬られる真実

事の顛末をただ傍観者として見つめる他ないジェイク

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夜のチャイナタウンの雑踏に虚しく轟く

クラクションの騒音

狂ったように泣き叫ぶ娘

しばしの余韻

漂う虚無感

う〜ん

一つ一つ丹念に積み重ねられた事実

こだわり抜いたディテール

それによって完璧に構築されたノワールの世界観

いやあ

終始唸りっぱなしです

あらためて本作は画面の端々に目を凝らし

プロセスをこそじっくりと堪能したい

まさに上質な大人の映画ですね

というわけで

『チャイナタウン』

今さらながら傑作です

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