映画『オー!スジョン』
2000年製作の韓国映画
『オー!スジョン』
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監督・脚本は
世界にその名を轟かす韓国の鬼才
ホン・サンス(1960-)
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男女それぞれの記憶をもとに辿る
出会いから一夜を過ごすまでの行動の変遷を
乾いたユーモアに包まれた
モノクロ映像で
淡々と綴った
ホン・サンスの長編第3作です
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…
あるホテルの一室で
恋人スジョンを待つジェフン…
画廊を経営するジェフンは
テレビ番組のディレクターのヨンスとともに
展覧会にやってきた構成作家のスジョンと出会い
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2人はたちまち恋に落ちる…
と
ジェフンからの電話を
自宅で受けたスジョンは
ジェフンとの出会いから
今までの経緯を振り返る…
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本作は
「1日中待つ」
「もしかしたら偶然」
「宙吊りのケーブルカー」
「もしかしたら意図的に」
「パートナーさえ見つかれば万事思い通り」
と名付けられた副題とともに
男女それぞれの視点で
物語が展開されます
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モノクロで捉えた
寒々しいソウルの風景
雪の積もった地方の起伏のある街並み
撮影当時
21世紀を迎える韓国に見る
ある種の停滞ムードと言っていいのでしょうか
どこか淀みのある空気感に覆われた
泥臭い風情が
自ずと映画に
リアルな息吹をもたらしています
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男女それぞれの視点
男から見たスジョンと
スジョン自身の記憶の中の姿は
往々にしてイコールではなく
それどころか
かなり違っています
どこか
自分に都合のいいように
記憶が書き換えられているかのよう
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そうした
ある種パターン化されて
展開する
男と女の駆け引きの妙
それは多分に
欲望を巡るそれとなっています
ふと
ホン監督独自の映画話法ともいえる
いわば
「反復」と「差異」が
男と女の記憶の発露という形で
縦横無尽に展開され
ストーリーの一貫性や起承転結は
本作を前にして
もろくも崩れ去ります
しかし
反復、変奏された日常の断片
いわば解体された物語は
次第に
バラバラなパズルが
モザイクのように組み合わさり
やがて立体的に構築されるに至ります
そうして全体を俯瞰したとき
映画は
複雑で気まぐれな
現代を生きる男と女の
赤裸々な姿
リアルな相貌を露わにするのです
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自ずと垣間見える
男女の本音
空虚で
それでいて
生々しい感情と
息づく
たしかな身体性
ふと
多作で知られるホン監督の
スタイル
形式が
3作目となる本作で
ほぼ確立するも
やはり
近年の作品のような洗練は
まだ見られず
そうした完全に定まっていない状態ながら
しかし
ソウルの荒れた街並み
複雑多岐にうごめく人々の感情
出会いからセックスに至る経緯を
粗い粒子の乾いたモノクロで捉えた
その映像には
凄みすら感じさせ
男と女の
本質的な意識のズレ
そのありのままの姿が
フィルムに明確に刻まれ
自ずと観る者を戸惑わせ
そして圧倒します
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と
本作で映画デビューを飾った
当時20歳のイ・ウンジュは
それから5年後に
自ら命を絶ったことで知られています
本作において
男性から見たスジョンと
自分の記憶の中のスジョンを
鮮烈に演じ分け
忘れがたい印象を残しています
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いやあ
つくづく
本作に見る
形式の妙
スタイルの革新性
なんとまあ
野心的な映画でしょうか
というわけで
『オー!スジョン』
ホン・サンスの異才ぶりが
余すことなく発揮された
恐るべき傑作です
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おまけ
ホン・サンスの映画について
僕が以前書いた記事をご紹介
◎『次の朝は他人』→こちら
◎『それから』→こちら
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