映画『大地の時代』

1980年製作のブラジル映画
『大地の時代』
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監督は
ブラジルの新しい映画
「シネマ・ノーヴォ」の代表的作家として知られた鬼才
グラウベル・ローシャ(1939-1981)
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本作は
1970 年代後半のブラジルにおける
政治的文化的混沌を
沸き上がるブラジル民衆たちの
音楽的祝祭的なパワーを通して表現した
怒涛の151分に及ぶ
いわば映像詩です
弱冠43歳で亡くなったローシャの
これが遺作となります
って
実際のところ
映画はカオスの産物で
ドキュメンタリーとドラマの境界が曖昧な
前衛的な作風ゆえ
観ていて
かなりサイケでぶっ飛んだ印象ですが
よくよく
軍政が敷かれ
西洋列強に呑まれて久しい
ブラジルの現状を憂いた
ローシャの
これまぎれもない
心の叫びで
同時に
ブラジルの大地に眠る霊気を
人々の中に宿る生気を
映画を通して
内外に放出するイメージ
どこまでも
民衆の力を信じて
エネルギーを解き放つ
…的な
そんな力強い空気感を
いやあ
映像の端々から
感じ取ることができましょうか
…
冒頭のロングショット
徐々に夕陽が昇り
山や街並みなどあたり一帯を照らし出す
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バイーアの土俗的な祭り
一心不乱に踊る人たち
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リオのカーニバルの熱狂
けたたましい音
ラテンのリズム
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バイーアの海岸で繰り広げられる
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4人のキリストによる寓話劇
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真っ青な空の下
カラフルで奇抜な衣装に身を包んだ演者たちによって
ブラジルの過去と現在のビジョンが示されます
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多分に脱西洋化による
第三世界の独立を唱えているようです
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おっと
狂乱の男と女
反復される映像
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ブラジリアの工事現場
そこで働く労働者たち
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劇中、頻繁に登場する
帝国主義的ムードをまとった男の
奇怪な様
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人々の面前で
行われる儀式的なパフォーマンス
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偶像を担ぎ
躍動する群衆
みなぎる生命力
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おや
劇中
演出するローシャ監督も登場(!)
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そうして映画は
湧き上がる群衆の熱気を
俯瞰したショットで捉えて
終わりを告げます
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ふぅ
一体
何なんでしょう
ここに映し出される世界の
終始高い熱量は…
あまりに唐突で意味不明ながら
この
ひたすらにパワーで押し切る感じ…
もう観ていて
ホトホト疲弊する僕がいます
…が
つくづく
政治的宗教的寓意に富んだ
イメージの羅列
縦横無尽に動くカメラが捉えた
ブラジルの混沌
民衆の生々しいまでの活力
この
映像と音の爆裂ぶり…
くしくも遺作となってしまった本作で
ローシャが試みた表現の地平は
う〜ん
一貫性がないながらも
どこか斬新で危険で
既成の価値観を破壊するパワーに
満ち満ちていると心底実感します
というわけで
『大地の時代』
決してオススメできる作品ではありませんが
いやあ
なんのなんの
鬼才グラウベル・ローシャが
人生の最期に執念で完成させた
魂のアートフィルムです
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おまけ
僕が以前
ローシャについて書いた記事です
◎伝説のブラジル映画→こちら
◎『アントニオ・ダス・モルテス』→こちら
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