映画『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』

1972年のフランス映画

『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』

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監督は

ルイス・ブニュエル(1900-1983)

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シュルレアリスム的悪夢の世界観

シニカルな視点による

異色の作品群で

映画史にその名を刻む

言わずと知れた

スペイン出身の巨匠です

本作は

晩年のブニュエルを代表する一本で

まあ一癖も二癖もある

異色のブラックコメディです

南米某国の駐仏大使とその友人の夫妻たちは

パリの家やレストランで

何度も晩餐の催しをするが

偶然の出来事など

何かしら邪魔が入って

どうしても食事をとることができない

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次第に不満を募らせつつ

それでも彼らは

勝手気まま

本能の赴くまま

己の欲望に忠実に振る舞い続けるが…

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映画は

そんなブルジョワの紳士淑女たちの

ちょっと奇妙でアブノーマルな日常を

皮肉とユーモアたっぷりに描いていきます

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本作のタイトルにもありますが

現代では

もはや死語となりつつある(⁈)

“ブルジョワジー“とは

今さらながら

資本家階級

というより

全てひっくるめたところの

富裕層、財産家

といった意味でしょうか

そうした

金持ちたちの生態を追い

美しく着飾り

気取った振る舞いに終始する彼らの

いわば本性をあぶり出す

さらには

低俗な次元で茶化す

といった方が

よりしっくりきますかね

映画は

欲望にどこまでも忠実な

ブルジョワたちの

赤裸々な姿を

その破廉恥な言動を

どこか品よく軽妙なタッチで描写しています

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って

欲望とは

ズバリ

本作の場合

食欲と性欲に尽きますね

これらを金の力で満たすことができ

なおかつ

道徳的倫理的にも

踏み外すことを

何らいとわない

ここでは

登場人物たちが

それぞれ友人や夫婦入り乱れて

不倫し合うという

節操のなさ

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って

そんな秘かな愉しみに興じる彼らが

あろうことか

食事にありつけない

この不条理…

これはどこか

『皆殺しの天使』(1962)にも通じる

シュールな展開ですが

本作では

唐突に

登場人物の夢や

また幽霊にまつわる話

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神父の復讐譚など

とりとめのないエピソードが度々挿入され

終盤になると

果たしてこれは

現実なのか

夢なのかが

イマイチはっきりしなくなったりします

そんな中でも

やはり執拗に

食事の邪魔が入ることが

手を替え品を替え

繰り返されるわけですが

ようやく

食卓に豪華な料理やお酒が並べられ

いざ食べようとなったときに

突如、テロリストの一団が侵入し

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ブルジョワたち全員が

その場であっけなく射殺されて

映画は

終わりを告げるという次第

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ふぅ

まるで

コントのような大団円ですね

まあ

意味深なようで

実際何の意味も隠喩もなし

よくよく

ブニュエルの映画は

知識や教養などを

あえて唾棄する姿勢に貫かれていますね

それはそうと

出演している俳優たちが

さすがブルジョワ役だけあって

ヨーロッパを代表する

結構な名優揃いです

ブニュエルお気に入りの

フェルナンド・レイのほか

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右から

デルフィーヌ・セイリグ

ステファーヌ・オードラン

ビュル・オジェなど

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ミシェル・ピコリも

チョイ役で出ていますね

とまあ

そんなこんな

『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』は

数々の問題作を発表し続けた鬼才ブニュエルが

キャリア後期に到達した

遊び心と毒気に溢れた

シュールなコメディの傑作です

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おまけ

ブニュエルの作品について

以前書いた記事です

◎『自由の幻想』→こちら

◎『哀しみのトリスターナ』→こちら

◎『皆殺しの天使』→こちら

◎『忘れられた人々』→こちら

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