映画『裸のランチ』
昆虫的
はたまた
爬虫類的な
生々しいまでの肌触り
ねっとりとした、ぬめり感
奇怪でグロテスクなイメージ
傷口の裂け目の
ヒリヒリと痛々しいまでの緊張感
そこに
ほのかに垣間見える
ある種の恍惚
と
いわばB級テイストのホラー系ながら
どこか
哲学的な要素を孕んだ
シュールでアブノーマルな世界観が
思わず病みつきにさせるほどの磁力を
観る者にもたらします
映画評です
1991年製作
イギリス、カナダ合作の
『裸のランチ』
↓↓↓
監督は
『ザ・フライ』などで知られる異才
デヴィッド・クローネンバーグ(1943-)
↓↓↓
原作は1959年に出版された
ウィリアム・バロウズの同名小説ですが
どこまでもクローネンバーグ色に染められた
う〜ん
全編これ
ドラッグ中毒者による幻覚の映画ですね
害虫駆除を生業とする男が
殺虫剤を麻薬として使用するうちに
幻覚を見るようになり…
↓↓↓
途中
ウィリアム・テルごっこをして
妻を誤って射殺してしまったり…
↓↓↓
普通の現実の中に
突如
得体の知れない物体やら
薄気味悪い化け物やらが出てくる…
おもむろに語り出す
ゴキブリの形をしたタイプライター
↓↓↓
一体
どこからどこまでが現実で幻覚なのか?
およそ判別不能
むしろその区別がなく
そのまま混在し並存しているイメージ
↓↓↓
とまあ
それはそうと
1950年代の時代背景のもと
“インター・ゾーン”と呼ばれる実在しない場所や
国家的な陰謀やスパイ容疑など
それっぽいネタや雰囲気描写が
妄想として先行しているだけで
映画自体の中身は正直
全然大したことない
あくまでテイストの妙が持ち味で
そのどこまでもシュールでマニアックな世界観が…
いやあ
しかしなんとも
魅力的なんですよね
つくづく…
↓↓↓
というわけで
クローネンバーグ
唯一無二の感性を持つ異能の人
言うまでもなく
僕はもちろん大好きです
ええっ
おまけ
なんといっても
やはり原作がすごいですね
発禁処分を受けた問題作です
↓↓↓
あらためて
長年にわたりドラッグ中毒に溺れ続けた
自身の体験を基にした小説群で
ビートニクを代表する作家と目された
ウィリアム・S・バロウズ(1914-1997)
↓↓↓
本書の
麻薬中毒者の頭の中を表した
奇想天外なイマジネーションと
しかし驚くほど緻密な描写に
う〜ん
とにかく打ちのめされること必至です
↓↓↓
上述の映画の中で
妻を撃ち殺してしまったエピソードは
他でもない
バロウズ自身による実話です
この記事へのコメントはありません。