『クリムト展』
いやあ
待望の鑑賞が叶いました
『クリムト展 ウィーンと日本1900』
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19世紀末ウィーンを代表する画家
グスタフ・クリムト(1862-1918)
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オーストリアとの国交樹立150周年
そしてクリムトの没後100年を記念して
企画された本展は
日本では過去最多の数となる
クリムトの油彩画25点以上が一堂に集結
う〜ん
これは本当にすごいこと
クリムトはオーストリアの至宝なだけでなく
生涯で制作した作品数が
約200点と少ないため
どこの所蔵美術館でもメイン級で
そう滅多に外に出さないと
言われているからです
なのでこれだけの作品が勢揃いした本展は
もう事件ですね
って
実は同時に
六本木の国立新美術館でも
クリムトを含めた
『ウィーン・モダン展』が開催されていますので
いやはや
今年はクリムト・イヤーですね
嬉しいかぎりです
ということで
圧巻の作品群のうち
メインどころを
以下、ザザッとご紹介
◎《女ともだちⅠ(姉妹たち)》(1907)
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19世紀後半にヨーロッパを席巻した
ジャポニズムの影響が如実に表れた作品
江戸時代の浮世絵の美人画に
着想を得たと言われる
縦長の画面に配された立ち姿の二人の女性
大部分を黒が占める慎ましさの中で
どこか退廃的な匂いを漂わす
女性たちの色白の表情と
左下の市松模様の柄が
見事なコントラストを形成
◎《ユディトⅠ》(1901)
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本展のポスターにも使用された
今回のメイン作品
旧約聖書外典に登場するユディトは
敵将を惑わして
首を切り落としたことで知られますが
半開きのうつろな目と口による恍惚の表情に
右下の男の生首
という組み合わせがとにかく強烈で
さらにこの作品でクリムトは
初めて本物の金箔を使用
いわば黄金様式の誕生です
そうして出来上がった作品の
この眼を見張る美しさ
同時に本作からは
クリムトの女性に対する畏怖や従属の念を
読み取ることもできましょうか
◎《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》(1899)
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これまた底冷えするくらいの異様な迫力
なんてったって
眼が怖い…
クリムトは
1897年に当時の保守的な画壇を離れ
新たな理想の芸術を求める
「ウィーン分離派」を仲間たちと結成します
本作は
その分離派の初代会長だったクリムトの
心意気を表した作品と言われています
“真実を映す鏡を持った裸の女性”
そして新たな表現手段として
このとき初めて金による装飾を施します
この試みは後の《ユディトⅠ》で
大きく進化を遂げることになります
◎第1回ウィーン分離派展ポスター(検閲後)(1898)
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記念すべき第1回分離派展の
ポスターデザインです
クリムトは
日本美術の平面性や装飾性
非対称的な構図などを
自作にどんどん反映させていったのですが
その一つが
革新的なデザインのポスターの数々です
◎第14回ウィーン分離派展ポスター(1902)
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いま見ても決して古びない
たしかなセンス
◎《ベートーヴェン・フリーズ》(1901-02)
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(写真は引用)
ベートーヴェンの交響曲第9番を
テーマに作られた
全長34mに及ぶ壁画の精巧な複製です
こちらは正面の壁の一部
「敵意に満ちた力」
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う〜ん
この空間内に身を置いて
流れてくる第9を聴いていると
不思議な余韻に浸ることができますね
◎《アッター湖畔のカンマー城Ⅲ》(1909/1910)
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クリムトは意外にも
多くの風景画を残していまして
本作は湖畔に立つ城を
印象派のように点を重ねて描いています
もはや何でもござれですね
◎《オイゲニア・プリマフェージの肖像》(1913/1914)
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「私は自分に関心がない。
他の人間、とりわけ女性に関心がある」
と語っていたクリムトは
ウィーン社交界の夫人たちからのオファーで
多くの肖像画を描いています
本作もその一つで
鮮烈な黄色い背景のもと
艶やかで透き通った肌のリアルな表情と
当時流行っていたフォーヴィスムの影響からか
無造作に散りばめられた豊かな色彩のドレスが
ひと際目を引きます
◎《赤子(ゆりかご)》(1917/1918)
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幾重にも積み上がった布の上に乗った赤ちゃん
折り重なった布は
日本の着物のような装飾で
思わず
『千と千尋の…』に出てくる坊を彷彿させて
自ずと和やかな気分にさせてくれますね
◎《「医学」のための習作》(1897-98)
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本作は
ウィーン大学の新講堂のための
学部画を依頼されて
哲学、医学、法学の各学部を表す
3点の寓意画を担当して制作したうちの
医学の習作です
しかしその斬新で奇抜な象徴主義ゆえ
大学内で大騒動が巻き起こってしまい
クリムトは抗議の姿勢から
報酬を返金して
作品を引き取ったんだそうです
と
クリムトにとって「生と死」は
終生をかけて追い求めたテーマでした
◎《女の三世代》(1905)
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若い母親とその胸で眠る幼児の
幸福で生命力に満ちた姿
…の背後にひっそりと佇む
枯れた身体の老女
そこには自ずと
死の影がチラついています
クリムトの集大成ともいえる
まさに「生命の円環」
圧巻です
そんなこんな
いやあ
何とまあ見応えのある作品群でしょうか
時折めまいを覚える僕がいましたね
なかなかないですね
これだけクリムトが観れる機会は…
というわけで
本展は7月10日(水)までです
この機会に是非ともご堪能あれ
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