映画『マーラー』

1974年のイギリス映画

『マーラー』

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監督・脚本は

スキャンダラスな問題作を連発し

世界中で物議を巻き起こしてきた

イギリスの鬼才

ケン・ラッセル(1927-2011)

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本作は

オーストリアの作曲家

グスタフ・マーラー(1860-1911)の半生を

ラッセルが大胆な解釈に基づいて映像化

彼のクリエイターとしての

特異な感性が爆発した怪作です

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1911

アメリカから帰国したマーラーと妻アルマ

ウィーンへと向かう列車の中で

マーラーは未完の交響曲第10番を仕上げたいと

焦燥感を募らせる一方

過去の記憶や妄想が

次々と脳裏に浮かび上がっていた

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幼少期の体験や弟の自殺

反ユダヤ主義的迫害とカトリックへの改宗

妻アルマとの確執や

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娘の死などなど

そうした葛藤を乗り越え

妻とともに

ウィーンに降り立ったマーラーは

しかし自身がすでに

余命いくばくもないことに

気がついていなかった

湖畔の静寂

圧倒的な大自然に囲まれた別荘にて

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なかば強迫観念にとらわれながら

交響曲の創作に励むマーラー

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不吉な光を放つ

ある種、病的な美しさに覆われた

この絶対的な風景と

対をなすように見せる

激しくも破壊的なイマジネーションの数々

デフォルメされた人物造形

音楽的、祝祭的狂騒

過剰な装飾に彩られた

グロテスクな悪夢的イメージの羅列

映画は

冒頭の

幼虫から成虫へと脱皮するかのような

妻の奇怪なパフォーマンスに始まり

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浮気に走るエキセントリックな妻

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ナチの風貌をしたワーグナーの未亡人コジマの

挑発的な振舞い

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ユダヤ教からカトリックへの改宗

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などなど

終始不穏なムードを漂わせながら

マーラーの回想と

さらには

その歪んだ心象風景

病に侵され

死の不安に苛まれた彼の内面世界を

マーラーの交響曲の荘重な調べに乗せて

自由奔放に映し出していきます

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悲劇や苦悩を抱えた

シリアスなドラマながら

まるでビデオクリップを観ているような

ポップなノリも感じられて

まこと不可思議な世界観を宿しています

ふと

マーラーといえば

僕はなんといっても

交響曲第5番第4楽章が主旋律で流れる

ヴィスコンティの『ベニスに死す』(1971)

想起せずにはいられませんで

本作においても

『ベニス』をイメージしたシーンが

唐突に挿入されるのですが

まあオマージュというより

パロディですね、これは

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いやはや

鬼才ケン・ラッセルの

ワールド炸裂です

というわけで

『マーラー』

生と死の強烈なコントラストによる

まさに魅惑の映像体験

かなりどぎついですが

個人的には是非オススメです

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