映画『恐怖分子』
1986年製作の台湾映画
『恐怖分子』
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この映画は
幻の傑作とうたわれながら
DVD化もされず
長らく日の目を浴びることがありませんでしたが
今回
デジタルリマスター版として
待望のリバイバル上映が実現
いやあ
うれしい限りですね
監督は
59歳の若さで急逝した鬼才
エドワード・ヤン(楊徳昌、1947-2007)
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生涯で残した作品は
短編を含めてわずか8本と寡作ながら
どれもいずれ劣らぬ傑作揃いです
本作『恐怖分子』は
そんなヤンの非凡な才能を世に知らしめた記念碑的作品です
…
台北のとある街中
早朝の静けさを破るように
おもむろに鳴り響く銃声
どこからともなく聞こえてくるパトカーのサイレン
路上で倒れている男
窓から飛び降りるも警察に捕えられる男
足を引き摺りながら逃げる少女
その様子を撮り続けるカメラマンの少年
…と
そんな唐突なシーンの羅列が
一切のセリフを排して展開する冒頭から始まるこの映画は
カメラマンの少年、ハーフの少女、医師の夫と小説家の妻など
様々な登場人物たちの日常と人間模様を垣間見つつ
ある時
少女がかけた何気ない悪戯電話によって
何の脈絡もなかった人物たちが
微妙に交差し始め
やがて複雑に絡み合い
それが思わぬ負の連鎖を呼び
そうして絶望的な悲劇へと雪崩れ込んでいく様を
シンボリックな映像と効果的な音響を駆使して
描写していきます
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映画は
説明描写の省略や沈黙の多用
また映像とセリフを意図的にずらすなど
野心的な試みが随所に散見できます
ヤン独特の構図
張り詰めた緊張感漂う静止画
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いやあ
80年代の台北という都市部に蔓延する
鬱屈とした空気を感じとる
鋭敏な感性と
その断片を鮮やかに切りとってみせる
卓越した演出力
つくづく
この人は天才ですね
まあアメリカでの生活が長かったゆえ
台湾を
少し離れた距離から見ることができたことも
特異な視点を獲得しえた
ひとつの要因かもしれませんね
そして
浮かび上がる現代人の孤独や
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沸々とたぎるフラストレーション
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それが一気に暴発する終盤の
畳み掛けるような展開に至るまで
もう
片時も目が離せません
観ている間
時折ヒリヒリとした痛みを覚えます
まるで鋭利な刃のような映画です
というわけで
『恐怖分子』
できれば劇場で鑑賞してほしい傑作ですね
う~ん
あらためて
監督の早逝が悔やまれますが
ちなみに
エドワード・ヤンの代表作といえば
なんといっても
『恐怖分子』の次作となる
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991)
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これもものすごい映画
ひたすらDVD化を待ちわびる
今日この頃です
はじめまして洋子といいます。若輩者ながらコメントさせていただきます。ブログの世界感が私と違って面白いと感じました。良ければ主婦の貧乏脱出物語にもお付き合い下さい。
>洋子☆主婦の貧乏脱出物語☆さん
は~い、是非^ ^。
コメントありがとうございます。