アカデミー賞の政治性
現地時間の4月25日
アメリカ、ロサンゼルスにて開催された
映画界最高の栄誉とされる
第93回アカデミー賞授賞式において
最高賞となる作品賞に選ばれたのは
『ノマドランド』で
本作を監督した
アメリカ在住の中国人女性監督クロエ・ジャオが
アジア系女性として史上初の監督賞を受賞しました
↓↓↓
ちなみに本作に主演したフランシス・マクドーマンドは
自身3度目となる主演女優賞を受賞し
いやあ
本年度は主要3部門を獲得した
『ノマドランド』の勝利に終わりましたね
また『ノマド』の対抗馬とされた
韓国映画の『ミナリ』に
出演したユン・ヨジョンが
助演女優賞に選ばれるなど
アジア系の女性2人が主要部門の賞を獲得する
歴史的な年にもなりました
と
こうした背景には
映画芸術科学アカデミーの
近年における内部改革が
大きく反映していると言われています
賞を選考するアカデミーの会員は
映画監督や俳優など
業界関係者で構成されていますが
2016年には
当時の会員数6,261人中
92%が白人
その75%が男性という構成比率が判明
それ故か
2015年、2016年には
4つの演技部門のノミネート俳優が
すべて白人という結果で
“白いアカデミー賞”
と揶揄する声が上がったほどでした
そうした経緯から
アカデミーは女性や非白人、国際会員を
意図的に数年かけて増員
現在、会員数は約1万人に達し
例えば2020年度の新会員は
68ヶ国819名で
そのうち45%が女性
36%が有色人種
49%がアメリカ人以外の出身と
構成比率もかなり偏りが是正されてきています
さらにアカデミーは2021年9月
多様性のある作品の選考に向けた新基準を公表
2024年から
作品賞には主演、助演どちらかの俳優に
マイノリティー(人種的少数派)を起用することや
主要テーマに
女性や性的少数者(LGBTQ)、障がい者などを据えることなどを項目に加え
それらを一定数満たすことを
授賞候補の条件に定めています
そうした
ここ近年における多様化を目指す内部改革が
明確な形で表れた結果が
昨年、作品賞、監督賞、脚本賞などを総ナメにした
韓国映画『パラサイト』の快挙でして
まあ記憶に新しいところですね
そしてこの流れはそのまま
本年度の『ノマド』や『ミナリ』の躍進へと
引き続いているといえましょう
とまあ
そういうわけでして
多様性を求める時代に応える
より開かれたアカデミー賞を志向すること
それ自体はもちろんわかるのですが
一方で
う〜ん
そう上手に人種や性別の割合を
コントロールできちゃうものなのかなと
少なからぬ違和感を覚える僕がいます
本来、映画の良し悪しに
人種とか性別とかは関係なく
白人だろうが黒人だろうがアジア人だろうが
いいものはいい
…はず
つくづく
他の芸術全般同様
映画の出来それ自体は
何か共通の物差し、判断基準をもって決められるわけではない
あくまで定性的な評価の産物です
なので大なり小なり
政治的な思惑が反映しやすい…
作品の質が高いことが前提の上で
なお
それでも純粋に作品の出来不出来だけでは
容易に計れない
多分に多くを占める
政治的な側面
って
これはよくよく
アカデミー賞に限らず
どんな賞もそうした面は否めませんが…
しかし
いまアジア系や黒人などのマイノリティが
選出されやすい環境、ムードが醸成されている
その一方で
優れた作品にもかかわらず
賞からもれてしまっている白人層の映画も
当然のことながら
厳然と存在しているわけで
白人にとって
この近年の流れから
にわかに除外されたことによる
不満や反動が
逆にいつかどこかで
噴出する可能性も大いに秘めていて
つまりは
それが数年前の
トランプ大統領誕生にもつながったわけで
そうした
いわばポピュリズムの気運が
映画界においても沸々とたぎり
おそらくは数年後に
顕在化してくるであろうことが
う〜ん
容易に予想されるのは僕だけでしょうか
つくづく
政治的な話ですね
そうした流れを
映画界においても
悲しいかな
まんま踏襲していることに対する
少なからぬ違和感
と
今回の『ノマドランド』とクロエ監督の受賞に関して
中国から公式な報道はなされず
また中国国内における
ソーシャルメディアへの投稿も遮断されているとのことです
それはクロエ監督が
過去に中国を批判する発言をしたことが原因だそうで
何ともつまらない話ですね
よくよく
『ノマドランド』という映画
クロエ監督の存在
それ自体が
今の米中対立を象徴しているという点では
とてもタイムリーで
故に政治的な観点から
この映画が捉えられ
彼女の存在が
どこか政治のカードに使われてしまっている側面は否めず
そう考えると
映画って一体何なのかな?
と
ある種の虚しさを覚えざるを得ません
でもその一方で
映画はそもそも
社会を反映する手段
時代を映す鏡であると考えれば
これは至極当たり前の話なのかもしれず
コロナ禍真っ只中において
そんな“今”を表現した
『ノマドランド』は
う〜ん
やはり
すごい映画なのかもしれませんね
↓↓↓
って
まだ観てないので
なんとも言えませんが…
というわけで
ああ
早く観たいものです
↓↓↓
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