映画『ミネソタ大強盗団』

1972年製作のアメリカ映画

フィリップ・カウフマン監督・脚本の

『ミネソタ大強盗団』

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実在したアウトロー

コール・ヤンガーとジェシー・ジェームズ率いる強盗団による

銀行襲撃の模様を描いた西部劇です

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監督のフィリップ・カウフマン(1936-)

ストーリーそのものよりも

その時代の習俗や空気を

忠実に捉えることに力を注いだ監督でして

じっくりとカメラを据えて撮るスタイルが信条ゆえ

作品は往々にして長尺になりましたが

しかし一時期は

『ライトスタッフ』(1983)

『存在の耐えられない軽さ』(1988)

『ヘンリー&ジューン』(1990)など

見応え十分な力作を連発し

確かな存在感を発揮しました

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本作『ミネソタ大強盗団』は

そんなカウフマンの初期の作品で

後年の代表的な作品群に見る主な特徴の

いわば萌芽が

などのレベルではない

すでに完成度の高さがうかがえる傑作です

娯楽的な要素は皆無で

史実をもとにした厳密な時代考証とともに

西部開拓時代末期という

歴史の転換点を生きた男たちのリアルな日常を

こだわり抜いたであろう演出・撮影技法を駆使して

時にユーモアを交えながら淡々と映し出しています

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アメリカ建国100周年を迎えた1876

ミネソタ州ノースフィールドを舞台に

義賊として知られたギャング団

コール・ヤンガーとジェシー・ジェームス、その仲間たちによる

白昼の銀行強盗事件とその末路

クリフ・ロバートソン演じる、冷静沈着なコール・ヤンガー()

ロバート・デュバル演じる、エキセントリックなジェシー・ジェームスが

それぞれリアルな持ち味を出していて絶妙です

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南北戦争が終結しておよそ10

アウトローが活躍する西部開拓時代が終わりを告げ

産業化の波が押し寄せる

新たな時代の、まさに前夜

蒸気自動車や蒸気オルガンなど

当時の最先端技術や

銀行の誕生、商業看板の掲示など

町が新しい物やサービスで溢れ

にわかに活気づく様子が描かれます

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また野原では

男たちがルールが確立されていない野球に

無邪気に興じる姿も映し出されます

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まるでこの時代に撮られたフィルムを垣間見ているような迫真性です

その一方で

そうした新しい時代についていけない

旧時代の男たち

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泥でぬかるんだ地面が生々しい

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体臭の匂い立つような汚れたコートが

なんとも味わい深い

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映画は

男たちの

どこまでも時代遅れな様相を呈する日常を

何気ないディテールの中に見出します

そうして

終盤の銀行強盗へとなだれ込んでいきます

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射殺された男が蒸気オルガンの上に倒れ込み

町中に轟音が響き渡る

降りしきる雨とともに

緊張感と焦燥感がないまぜになり

ギャングの一味は予想外の混乱に見舞われる

エッジの効いた演出の妙

観る者の予想を裏切る展開の面白さ

う〜ん

唸りますね

と劇中

自然光による陽炎のように揺れるショットが時折挿入され

神話的な美しさを形成

とまあ

いやあ

とにかく見どころ満載で

つくづく渋い映画です

じっくりと細部に目を凝らして観てほしいですね

というわけで

カウフマンの放つ異色西部劇

あらためて必見です

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