類似する映画
ふと
どっちかがパクったわけでもない
リメイクとかでもない
いずれも同年に製作されて
純粋に似通っている映画
まあ、たまたまでしょうね
これは同時代を生きるクリエイターたちが
時代の空気に感応した結果
題材やアイデアがかぶっちゃったわけで
めったにないことですが
よくよくあり得る話ですね
でも無二のクリエイターたちの産物なので
当然のことながら
一見似ているようでその実
別物なのは明白です
しかしなるほど
不思議なくらい共通点が見出せて
面白いものですね
ということで
以下にご紹介
まずは1991年に製作された2本
ジョエル&イーサン・コーエン監督のアメリカ映画
『バートン・フィンク』と
↓↓↓
デヴィッド・クローネンバーグ監督の
イギリス、カナダ合作映画
『裸のランチ』
↓↓↓
40〜50年代のアメリカという
前時代的な舞台背景
作家が創作に行き詰まる様子
特には
生理的な不快感をあらわにしたり
B級テイストな幻想や妄想を視覚化したりと
表現主義的な手法を用いた
シュールでブラックな映像
また両作ともに
ジュディ・デイヴィスが重要な役で出演していたり
by『バートン・フィンク』
↓↓↓
by『裸のランチ』
↓↓↓
などなど
いやあ
コーエン兄弟とクローネンバーグという
曲者監督の作品が
諸々かぶるなんて意外ですね
ふと
両作ともに見られる
造り込んだコッテリ風味の赤みがかった映像は
やはり同じ1991年に製作された
ジャン=ピエール・ジュネ&マルク・キャロ監督の
フランス映画の怪作
『デリカテッセン』にも見出すことができて
↓↓↓
思えば1991年て
こうしたくどいビジュアルが
トレンドだったんでしょうかね
さてお次は
1973年に製作された2本
ピーター・ボグダノヴィッチ監督の
アメリカ映画
『ペーパー・ムーン』と
↓↓↓
ヴィム・ヴェンダース監督のドイツ映画
『都会のアリス』
↓↓↓
有名な話ですが
『都会のアリス』のストーリーを書き上げたヴェンダースが
アメリカに行った際にプレス試写会で
『ペーパー・ムーン』を観て
自分が書いた内容とそっくりなことに愕然とし
一時製作を中止することも考えます
しかし大先輩であるサミュエル・フラー監督の助言もあって
脚本の後半部分を書き直すことで
無事、映画を完成させた
というエピソードが残っています
でもよくよく
大人と子どもの交流を通した
ロードムービーということで
確かに設定そのものは酷似していますが
実際、この2作は似て非なるものですがね
あらためてどちらも傑作です
そして最後にこちら
1960年に製作されたイタリア映画の2本
フェデリコ・フェリーニ監督の
『甘い生活』と
↓↓↓
ミケランジェロ・アントニオーニ監督の
『情事』
↓↓↓
ともに映画史に名を刻むイタリアの名作です
って
はっきり言って
全然似ても似つきません
が
どちらもテーマは
“現代人の精神の退廃”です
敗戦後
にわかに高度経済成長に沸くイタリア社会の
虚飾にまみれた姿
欲望と絶望が混在したあり様
そこに生きる現代人の孤独や心の荒廃を
スタイルは違えど
両作ともに余すことなく描き切っています
まあ言ってみれば
フェリーニが陽だとすれば
アントニオーニはまぎれもない陰でしょうね
まさに対照的ですが
扱うテーマ、題材
時代を捉える感性
社会への鋭い眼差し
最先端を行くクリエイターとしての気概など
多くの共通項を見出すことができます
つくづくそうした中でも
表現の違いが如実にうかがえて面白いですね
またおまけでこちら
同じ1960年に製作された
フランス、イタリア合作の映画
ピーター・ブルック監督の
『雨のしのび逢い』
↓↓↓
本作も現代人が抱える
精神的な危機感、虚無感をテーマにしていて
こちらはさらに
観念性、哲学性を増していて興味深いですね
というわけで
以上
類似する映画を
思うままに挙げてみました
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